魅かれた理由@「明日の広告」佐藤尚之著
新書版にはタイトルを付けて力がつきてしまったような気がするものもあるけれど、何度か繰り返して読んでしまうものもある。例えばネット上で書評というか感想をたくさん読むことができる、梅田望夫さんの本などはそういう本の代表例だと思います。さて、先月読んだ中のそんな一冊が「明日の広告」でした。
著者の佐藤さんは、"さとなお"というネームでずいぶん前から食べ物系を中心にいろんな活動をしている人。それをネットで公開していて、自分だけでなく我が家でもずいぶん楽しませてもらっています。この本の中身は「広告」という事例を元に、TVや新聞の可能性がまだあることや、そうはいっても新聞やTVがいうことをそのまま信じて自分で考えることを停止させちゃいけないことなどが、著者の実際の仕事事例を使って"楽しく"述べられていきます。と、自分はなぜこの本に魅かれたのかが気になってきました。なぜかといえば、それはこの本だけじゃなくて、自分が魅かれた何冊もの本に共通している点があるんじゃないかと思えるからです。で、それは次のようなことじゃないかと。
- 仕事でもプライベートでもやってることが(辛そうじゃなく)楽しそうに見える
これにはきっと幾つかの要素があるのだと思います。例えば普段やっていることをネットで日々オープンにしてること。例えそれを知らなくても、そう読めるように文体や雰囲気作りが考えられていることとか。でも一番力強いのは、「好きでやってる」ことが伝わってくることじゃないかと思います。可能性を見いだし、明日がもっとよくなると信じ、自ら動い続けてる。そんなことがうかがえます。
- 自分の感覚を信じて自分(の環境)を変えてきている
10年以上前に自分のサイトを立ち上げて数多くのアクセスがあり、仕事の面でも早くからウェブの可能性に注目して部署を移っていたり。そのどれもが誰に言われたわけじゃなくて、自分の感覚を信じて自らやってみることを通していることがまずあると思います。でもそれだけじゃなくて、そういった活動を通してやり方・考え方そのものも新しく作り出していることがあると思うんです。"こうやればこういう結果が大体得られる"そういう方程式のようなものが無い中で、動きもがきながら新しいものを生み出している。そういうことがあるんじゃないかと思います。
- 自らが関わった事例を元に述べられているので訴えかけてくるものが強い
星野ドラゴンズの優勝感謝広告を仕掛け、スラムダンクでもファン感謝キャンペーンなど、ある意味ピンポイントかもしれないですが、新しいことに関わってきている。そんな自らの実例を挙げながら、さらけ出しながらの話はやはり力があります。
- 仕事以外に好きでやってることがあり、それが世の中から認知されるレベルである
これはまぁ、この本を読んで初めて氏のことを知った人には当てはまらないと思いますが、じばらん(自腹でフレンチを食べ歩く会)をはじめとした食べ歩きの情報を公開して本を何冊か出すほどだったり。おまけにそれが世の中で注目されるよりちょっと早い(気がします)。讃岐うどんも、沖縄もそんな例だと思いますしかも徹底してること。つまり本業でもそれ以外でも他者から一定の評価を得られるレベルになっているということだと思います。
とまぁこんなことを考えています(笑)。タイトルは「広告」なんですけど、それに留まらずいろんなことへのヒントが詰まってると思います。それだけでも、読む価値は十分にあったというもの。これをどう生かすかは自分次第。。。です(^_^;)
明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045)
- 作者: 佐藤尚之
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2008/01/10
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