景色のあるお店@吉富寿し(福岡、福岡)


福岡への日帰り出張。箱根の山も雪が積もっています。富士山はかように見事な眺めでありました。眠ってなんかいられません(笑)。


再び長浜近くのこのお店にやって来ました。最初は緊張して十分味わうところまで気が及ばなかったのですけど、入り口からその時々の花が迎えてくれています。座ったカウンター席の正面には、ボケの赤い花。厠(何となく、こう呼びたくなって…^_^;)には、猫柳とか。そう思ってみると、冷蔵ケースの無い店内は一つの景色をつくっているように思えてきます。お茶の世界のことはさっぱり分かりませんが、思わず景色という言葉が浮かんでしまいました。綺麗に寿司ネタたちが収められているネタ箱(というんでしょうかね?)も、少しずつ春めいた色が増えて来たように思えます。サヨリでしょうか、光る皮の色つやが冬の魚のそれとは違いますし、あの少し透けるような身はまた、なんというかそれだけで春めいて感じられます。海老や烏賊の色が明るくなって、口当たりが以前より優しくなり、甘味が増しているように感じられたんですが、まぁ正直ここまでいってしまうと妄想じみているような(苦笑)。


「河豚や鯖、鰤ももう終わります。菜の花(握りの〆です)も今週までで、来週からは土筆、ぜんまい、筍と続きます」


穏やかな声が、そう教えてくれます。あぁ、ここのお寿司はもしかしたらこの景色の中の一つなのかもしれません。カウンターから大きなまな板まで高さがほとんど同じにあつらえられ、ネタたちも普段は姿を隠しているのもそういう理由なんじゃないかと。


帰りの飛行機からは、熱が加わり少し濁り始めた玉子の白身を思わせる空が広がっていました(食べ物で一杯の頭の中ですね…)。石廊崎上空を過ぎ、伊豆半島。この間には静岡や沼津があるはずだけど見えない。富士山さえ見逃しそうになるぐらい頼りなげ。これもいかにも春の景色。