ありのままの自然

そろそろ旅のメモも終わりにしよう。

 

今回一番印象に残っている宿は、西海岸・MoerakiのWildernessLodge。小さな湖から流れ出している川が、すぐ近くの海まで流れ始める脇に建つ一軒宿。料金は決して安くないから、それなりに快適なのはもちろんなのだけど、何年も前に環境をありのままに守ろうとして変人扱いもされたオーナー夫妻がつくったものだ。大事にする=手を付けない、ではないのだな。どの辺りにどれぐらいならば影響を最小限にしつつ、理解も出来るのか…そんなことを少しずつやってきたんじゃないかと想像した。川にすむ鴨の親子が宿の周りを歩き回り夜は時にけたたましく鳴き、灯には森からカミキリムシが飛んできていたり、オニヤンマのようなトンボがつーっと横切ったりする。こちらも自由にカヤックに乗ったり海岸まで歩いたり。はたまた、道路から「こんなところに道があるんだ。。。」と森を分け入って崖を下りてアザラシに会いに行くガイドツアーが毎日あって、それに参加出来る。
 

さてこの旅で楽しみにしていた一つはペンギン!東のオタゴ半島と西のモエラキがその候補地だ。どちらもペンギンが棲んでいる地域。オタゴのペンギンは、ツアーで御対面。犬小屋のような住み処が作られて、人間もシェルターのようなトンネルを歩きつつ、柵越しの観察。一方今回は時期が過ぎていて見ることができなかったモエラキのペンギンたち(羽が生え替わるこの時期は、近くの森の中に潜んでいるのだそうだ)。

テ・アナウ湖の洞窟に見に行った土ボタルは、鍾乳洞の中を流れる川を船でたどりアプローチ。天井一杯に青い満天の星が広がっているような見事さ。いやもう、距離感も無くなるし、いったい自分がどこにいるのかは分からなくなっちゃう。かたやモエラキ。すぐ傍の車道沿いの原生林に点々と光っていたのも、紛うことなき土ボタル。こちらは森に包まれちゃったような気になる。

ペンギンも土ボタルも偶然にも対照的(?)な状態を体験できた。どちらも”自然な”状態に接していることに違いはないのだけれど、不思議に印象は全く違うのだ(「天然」と「養殖」程じゃないけれど、なぜかそんなことが頭に浮かんでしまった)。 でも違っている(と感じる)のはこちら、人のほうなのだよな。”ありのまま”って、いったいなんだろう?