重ねることは新しきかな@オペラ座で椿姫


今回の旅で、珍しく食べ物以外に目玉?が二つ。一つはオペラ座でバレエをみること、もう一つはたくさんの絵を浴びること。到着の翌晩、なんだか疲れが取れないまま初オペラ座(ガルニエ宮)へ。それにしても素晴らしいとは聞いてましたが、ここは雰囲気というかいい空気に満ちてますね。食べ物も器一つで印象ががらりと変わりますが、それ以上のものがありそう。演じる方もみるほうもこの空気に包まれて気持ちが変わらないわけがないでしょうねぇ(^_^)。40年ほど前に描かれた天井のシャガールの絵が、築130年以上を経たこの壮大な建築物を重たい印象にせずに輝いてます。それにしても、単に古いものを大事にするだけじゃなくて、こういう"重ね方"をして使っていくというのはフランス(だけじゃないかも知れませんが)の特徴の一つなんじゃないかと感じます。別の日にいったプチ・パレとか、たくさんある美術館なども、部分的にリノベーションされたり元の用途とは違う形で使われてますし。
そういえばオルセー美術館の1階奥で、このガルニエ宮の断面模型に出会い、客席からうかがえる空間がほんの一部だということが分かり(なんて巨大な)、またまたびっくり…というのはおまけの後日談。もひとつ横道ついでに付け加えると、今回使ったフジのデジカメFinePixF100fdは、この薄暗い中でよくシャガールの絵を写し取ってくれました。ちょっとオートのホワイトバランスが効きすぎて、薄暗い雰囲気や色合いをもう少し残して欲しかったと思いますけど(苦笑)。



さて演目は、「椿姫」。この日のキャストは椿姫にちょっと背の高そうなオペラ座のルテステュ、アルマン役にはイタリアからの客演でボッレというやはり長身のダンサー。恥ずかしながら、このお話、マンガでしか読んでいません。でもそんなこととは関係なく、ため息もでないぐらい(←ちょっと変ですが…)素晴らしかった。観終わった後は、泣いて浄化されたような気分でした。年に一度ぐらいみているだけなんですが、バレエってこういう流れるような所作で感情を表現することもできるんだと、ちょっと感動。なんて叙情的な、舞台。


今まで観たことのあるバレエとは、いろいろな点で違っていたことも確かです。実話(体験)を元にして書かれた小説がベースで、基本的には二人の軌跡をたどっているので、いわゆるファンタジー的な全幕もの(と呼ばれるらしい)バレエとは違ってます。さらに二人で動きを重ね、感情を表す踊り(それを踊りと呼ぶことも不自然な気がするぐらい)。誤解を恐れずに感じたままいうと、あるときから黒子の存在が見えなくなり人形がまるで生きているかのように物語を演じてみえる文楽に通じるような、引き込まれ方でした。でも。それ程の力を感じながら、決して登場人物の目線100%の物語じゃないんですね。忠臣蔵などと違う、第三者的な視点。う〜む。だから話や背景を事前に知らなくても、グッと引き込まれるのかも。当たり前のことなのかも知れないけれど、自分にはそうした"発見"が重なって、そういう点でも刺激的だったですね〜。唯一残念だったのは。。。疲労困ぱいでこれだけ素晴らしいものを目の前にして、何度か意識を失ない瞼が重なった瞬間があったこと(T_T)ゞうぅぅぅ。