夏は、スパイスの季節@HIRSINGER(イルサンジェ、Arbois,France)

今回のフランス往き、食べ物系の目的のひとつは、スイス国境も近いArbois(アルボワ)を再訪すること。この小さな町というか村はクルマだったら数分もかからず通り抜けてしまうサイズなのに、ワイナリーのショップが片手では足りないぐらいあるし、ミシュランの二つ星レストランだってある。おまけにコンテチーズの産地だし、モンドール山だってすぐ近くだ。当然とびきり美味いコンテを売ってる店もあった。そしてHirsingerも(^_^)。3年前にここに来た時にホテルで教えてくれた"美味しいチョコレート屋"さん。あまり期待せずに食べてみたら、ほんとにいけるチョコだったのです。その後パリに行っていくつかの店でチョコを食べたりもしたけれど、「あれがもっと食べたい〜」と歯ぎしり。今度こそは思う存分!?とパリからTGVにローカル線を乗り継いで4時間、無人のArbois駅に到着。30℃を超える強い日差しの中を歩いてやっとこさArboisへ…というわけなのだ。


中心部?の噴水のあるロータリーもその周囲の店も変わることのない風景。日本だと"変わらない"ってなかなか無いよなぁ。。。なんて思っていたら、HIRSINGER(イルサンジェ)がちょっと変わっていた。あらま。なんだかスッキリとしたパリにありそうなちょっと立派な店構えに変身。確かチョコは正面のショーケースに並んでいたと思うのだけど、左側の壁に移動。外から見えるのは綺麗に並んだケーキ。うぅむ、日本だとこういう場合、ちょっと不安なことが多い。まぁでもここまで来たらほかに選択肢はないし、店の規模が大きくなったわけじゃない。いったん荷物をホテルに置いてから早速店へ。




「あ、あの〜アルボワの特産のものを使ったチョコってありますか?」
「無いわ。ここにあるボは、ぜ〜んぶ"うちの"オリジナルなの」←駄洒落はウソです-_-;



英語をしゃべらないマダムと、ホンのちょっとだけ覚えたフランス語の単語しか喋れない日本人のやりとり。噛みあっていない気もしますが、マダムのいいたいことは十分わかりました。そしてそれは食べてみれば一目瞭然。あちらのチョコはガナッシュなどが中に入っているものが多い。つまり、外側のチョコと中が違うもの。ところが前歯で二つにしてから舌の上でとろけるまで、その違いがない。見事に連続してる。しかもなんとも滑らかで肌理が細かく、きちんと裏ごしをしたポタージュみたい。なんといってもビックリなのがその味と香りの滞空時間の長さです。例えば、グリーンペッパー・ガナッシュは、チョコに続いてやや柔らか目でミルキーなガナッシュがやってきます。その香りが鼻腔を満たしている後から少しずつ柚子胡椒を思わせる香りが強まっていき、ちょっとスパイシーな刺激が舌にもやって来る。そして余韻を残しつつもスッキリとキレのいい後口で〆。どれもが少しずつ重なり合って連続花火のようにやって来る。うらら〜。でも!これがライムガナッシュコリアンダー入りヌガティフなんていう複雑なやつになると、とてもじゃないですがもう表現の域を超えてただ頬が緩んでいるばかり。。。がっくり


ちょっとくどくなっちゃいました。すみません(^_^;)。それにしても、チョコという食材は一年中使いながら、そのまとめ方を季節によって変えていくというのは考えさせられました。夜はJean-Paul JEUNETというレストランで食事をしたんですが、ここでもエスカルゴやパンにカレーやいくつかのスパイスを混ぜて使っていたり。例えば自分は米を食べる時に、生産者や生産方法、銘柄は気にするけれど季節によって炊き方や使い方を変えたりなんてことは考えたこと無かったです。季節や旬というものも、食材が変わるものだと思って疑いもしていない。でも。。。この地では季節感は、自分たちで作り味わう部分もある。こういう違いがあるから普段気付いていないことも発見できるし、それを使って何かしてみたくなります。う〜む、面白い!


※たどたどしくやりとりをしていたらマダムが「Tokyo?Japon?」 つられて「oui」といったら出てきたのは日本語のパンフレット。。。え!?まさか日本進出なんて思って帰国後調べたら、伊勢丹の例のイベントに来てるんですね。全然知らなかった(^_^;)ゞ