新しいカミを垣間見る気分@中村勇吾/THA展「NOW UPDATING...」


1階と地下で40以上のモニターが並んでる。B1では大小36面の画面が自分を取りまき、その中でいろんなものが動いている。それらは60秒ごとに一斉にシンクロする。モニターに表示されるのは、普通静止画か動画で、写真か(ビデオ)ムービーだけど、今ここで眺めているものは、そのどちらでもないようだけど…と思いながらしばし立ちつくしてしまった。敢えていえばそれは絵に近い気がする。


ある視点でネットから集められた言葉が、まるで星が日周運動するように円弧を描いてゆく(GYRE World Refrector)。踊ったり跳ねたりするように並んだり動かしたりできるユニクロのロゴMoMAAmazonsoftbankのためのもののように企業や組織のためのももあれば、超スローモーションで数字が水にダイブしたり、鉛筆で手書きする文字で作られた時計のように自分たちの実験のようなものも。


何時だったか「プロフェッショナル・仕事の流儀」でみた中村勇吾さん。その時は元々Webデザインをしていたわけではないという経歴や、1年に何ヶ月か仕事をしない時期を設けているなんていうところにも興味を引かれた。しかし番組で紹介された数々の"結果"として画面で踊っている文字や画像などは、綺麗とかセンスがいいという表現が陳腐に感じるような、なんとも魅力的で楽しいものだった。画面の中でカーソルをある部分に置くと意表を突く動きを始めたり、一つ一つではなんてことは無いように思えるシーンが積み重ねられ再構成されてみたこともないシーンが現れる。そんな中村さんのチームが手がけた数々が今、目の前に並んでる。そこにあるのはいつもみているもの、例えば文字を、ぐ〜っと拡大したりぶらしながら動かす。別のもので文字を描いてみる。動かすスピードを変えたり、二つ、三つと並べてみる。。。うーこんなふうに言葉にすると全然魅力的じゃない(苦笑)。


たくさん並んだ画面を見ながら、紙を思い出していた。紙にはいろんな質感があって、それが楽しいし面白い(と思う)。けれど紙よりもいろんなものを映し出したり表現ができるモニターは、単にデバイスというモノ以上には感じてこなかった。自分にとっては違うものでした。この展示会をみて、あぁ"動き"によって質感って(疑似的に?)表したり感じることができるのかもしれないという気がしてます。人だって自分が動いたり対象が動くから周囲のモノに関するあれこれを認識できるのだろう。人がじっと眺めているならば、見つめられているもののほうが動けばいいのかもしれない…。絵をみて時々思うのですが、みている側に描かれている対象に関することだけでなく、いろんなことに意識をとばす刺激をくれるものがあるとおもうんです。モニターの前に立っている自分は、なんだかそんな絵の前にいるときと同じみたいでした。

 ggg(銀座グラフィックギャラリー、中央区銀座7−7−2 日曜祝日は休館)