1600人のレストラン@志の輔らくご・ひとり大劇場


自ら雨男だという、志の輔さん。この日も午後は雷が(笑)。1600人を前にした国立劇場大劇場での独演会は昨年に続いて二年目です。最近、数百人規模の会はチケットがさっぱり取れなくなっちゃいましたが、この収容人数なのでとれました。ほっ。半蔵門の駅から続いた人の列を幟が迎えてくれました。今回は二階席、前から二列目。歌舞伎などを前提に作られているからなのでしょう、1600人はいる割にはだだっ広い感じはせず、二階ですが近くから舞台を眺める印象です。



一席目は新作(?)の「生まれ変わり」。いやぁ、初めのうち、なんだか仕事で研修を受けてるみたいな気分でした。選択も三つ、特徴を表すのも三つ。話をする時はのポイントは三つまでに絞れ!ってよく聞きますから(苦笑)。それにしても人となりを表すのに、仕事・性格・嗜好の三点とは考えましたねぇ。さしずめ自分なら、動き回る仕事・ちょっと細かい性格・意地汚い食欲…といったところでしょうか。おまけに"オチが自分"という展開にも驚きます。こういう落語ってほかにもあるんでしょうかねぇ?そしてこの後は、ちょっととぼけた「三方一両損」、やっぱりイノベーションって当たり前との戦いだよな(←苦笑)と「中村仲蔵」。


それにしても不思議なのは、映画館にはもう何時から行っていないか分からないこの自分が、よくまぁ志の輔落語には通ってるもんです。なぜかと考えてみれば…って考えたことありませんでした(笑)。ここに来ると隣席が気にならないぐらい笑い、時に涙ぐみ、息をのんで引き込まれる。でも舞台の上は男がひとり。それなのに、目だけじゃなくて耳も、肌でも、感じるものがちりばめられてて、そんなことを居合わせた人たちがおそらくそれを一緒に体感して、増幅して、堪能しているような気がします。同じ落語をDVDでみても、こうはならないんです(実験済み)。あれこれ思うに、志の輔さんの独演会※は、"受け身的でありながら身体中で楽しめる(楽しませてもらえる)場"ではないか、というのが今の自分なりの結論です。(※ほかの人の落語会にまだ行ったことがないもので。。。)


旅行はいろんなことを味わえますが、こちらから能動的に働き掛けることが楽しみを増幅するのだと思います。コンサートは全身で楽しめるけど、同じ盛り上がり方を暗黙的に要求されちゃったりします(周りがみんな立っているのに自分だけ座ってることが許されない雰囲気、とか)。そこいくと相性のいい落語って、もう一度行きたいと思うレストラン(もちろん居酒屋でもいいんです)みたいなものじゃないかって思えます。サーブしてもらったあれこれ(料理だけじゃなく)を、いろんな感覚で味わって楽しい時間を過ごして、おまけに気持ちのいい余韻までついてきます。まだちょっと満腹で消化不良気味ですが、三席を堪能したあとで、そんなことを考えてました。ふ〜ごちそうさまでした(笑)。