談春・喬太郎二人会@関内ホール(2009年6月17日、横浜)

独演会のライブ感とは違う、感覚が二人会にはあるように思います。ベテランと若手という組み合わせは、なんとなく役割みたいなものが生まれるように思いますが、この二人はガチンコといっていいんでしょうね。
フィギュアスケートやプレゼンテーションにも似た、どっちが観客の心を魅了するか…というような。それぞれの演者を楽しむ以外に、そんなことも魅力なんだと改めて実感させてくれた会でした。


柳家喬太郎「純情日記〜横浜編」

初めての出会いだったんですが、なかなかに強烈なパンチ!を喰らいました〜。事前情報は、ロマンスグレーの写真だけ。はなしっぷりの速いことに、まず驚いちゃいました。でも、それは序の口。開口一番、みなとみらい線の態度が、腑に落ちないといって、客席にいきなり投げる。実家が横浜ということから、横浜ネタを次々にくり出して、どんどん客席に。いやもう、その内容の微妙さと、テンポが、面白いったらない。ターミナル横浜駅に集まる五つの電車に、それぞれ色をつけて笑わせたかと思うと、すべてを裏で束ねるのは崎陽軒だとチクって、また笑わせる。しかし、話は拡がっても、核は"高島町"という失われた駅にまつわる悲しく可笑しいあれこれ。実は時事的なネタじゃないほうが、一体感は生まれやすいのかもしれませんねぇ。考えてるなぁ。

かと思えば、いきなり立ち上がったり、座布団から降りて舞台を歩いたり。縦横無尽を絵に描いたようにエネルギッシュ。しかも、楽しい。

二人会もこの回で最後ですから、もうどうだっていいんです。昼間の回で「死に神」をやって、古典のエキスはもう使い果たしちゃいました〜っ

立川流とは違う空気が、会場に満ちてます。そうか、二人会って、異種格闘技的な面も…あるんですね。


そんな枕をたっぷりやって、「純情日記」へ。これもはじめてききました。私小説的な新作とでも言ったらいいのかな、例えば志の輔さんの新作に比べると、シチュエーションも流れも、現実的で、日常的で、軽いもの。この日は特に枕が、インパクトあるものに感じたからかもしれませんけど。

一度、この人の古典も聞いてみたいなぁ。。。って思っちゃいました。


立川談春三枚起請

三月の横浜の独演会以来、久し振りの談春さんを楽しみにしてました。この日は、喬太郎さんが、いきなりリミッター外して、後先考えず(?)突っ走って大受けしちゃいましたので、ちょっとアウェイ感があったかもしれません。でもそこは、談春さんですから、噺がはじまってしまえば。。。


座布団の上にいるのは、棟梁だったり、ちょっと性格の悪いお女郎になったり。登場人物も、抑え目、いきり立ち系、開き直り、与太郎系と、組み合わせ、描きわけながら進めて、引き込んじゃう。こういうのは、この人の力を感じますねぇ。勘違いかもしれませんが、新しい取り組みというか、テストのようなことを、盛り込んでいたようにも思います。やりとりを独り芝居風に…とか。でも、ぼくには分からないことも、もっともっと試しているんだろうなぁ。何年経っても、そういうことをやり続ける人たちには、刺激されます。


秋から冬は、東京近辺でもっと会をやってくれると、いいなぁ!ぜひ!!