音の力

人は情報の多くを視覚から得ている。ということは、視覚を使っている状態の時の人ってそれ以外のことに注意がむきにくい状態にあるわけ(だよなぁ)。ウン、実感とはあってる(笑)。子供のころに夢中で見ていたアニメの内容はいろいろと思い出せても、そのアニメを見ながら、あるいはそのころ何をしていたか…はどうにもはっきりしないことが多いのもそんなわけなんだろうな。

そう考えると、音楽はそれをよく聞いていた頃のあれこれを思い出しやすいのも分かる気がしてくる。タイムマシンとしての使い方だけじゃなくて、意識的に自分の気分を換えることにも使えたりするし。つまり音楽には”じっくり聞く”場合と”何かをしながら聞く”場合があるのだろう。昼休みにぼ〜っとしながら聞く、クルマを運転する、集中してあれこれ考えるetc.どんな曲を聴くかで気分が変わるのは面白いしほんとに不思議。ある程度の時間無音状態だって感じられる状態って人工的な環境以外では恐らく無いから、自分の”音”を持っていると、いろいろできることが増えそうな気もしてくる。

そんなわけで、思わず目が吸い寄せられる視覚情報とそれを強力にサポートする音楽が組み合わせたコンテンツがたくさん作られる。ある日、そんなうちの一つに偶然出会う。昨年8月にTVで放送されたのだというけれどもちろんそんなことは全く関知できず(苦笑)、1月の終わりにあるセミナーでたまたま目にしたのが資生堂の企業広告「新しい私になって」。すぐにYouTubeを探したらあった!のでもう一度じっくり(いやぁ便利になったもんだ)。このCMのシンプルな映像と、使われてる同じタイトルの曲(唄:熊木杏里)の組み合わせがものすごく印象的だったのだ。

作詞が中島信也さんと聞いて、さらにインパクトが強烈になったのは一度講義を聞いたことがあるからだけど、いやぁスゴイ人だなぁ。「本日私は、ふられました…」なんて始まりはまさにキャッチコピーそのものじゃないだろうか。こんなコトバが綴れるっていいなぁ。この曲で初めて知った熊木杏里さんのメロディと声もそれを自然な感じで話すように歌ってる。で、さっき気がついた!(ノロイっ!!) この曲、iTunesStoreに入ってる!早速クリック。iPodへ入れて。
熊木杏里 - 新しい私になって - EP - 新しい私になって

それにしても、自分のモードをある程度コントロールできそうな力を持つ”音”だから、いつものシーンで当然のようにあるはずの音が無くなってしまったら…どうなるんだろう。きっと、同じ音を聞くことで安心して他のこと(本を読むとか寝ちゃうとか)ができるんだよなぁ。例えば、通勤電車に乗って全く音がしなくなったら…それを通勤電車と思うのか?そこでは何をするのだろう、いやいやそんな空間で何かすることはできるのかな?はて。