自分のものにする


外国のものでも、日本古来のものでも、自分なりに解釈することで、自分のものにする。自分のものにして、それを表現する。バレエ、落語、オーケストラの指揮という一見全く違うジャンルで一流の人たちにはそんな共通点があるみたいだ。

白鳥の湖。バレエについては全くの素人だけど、先月のKバレエでは「あれ、こんなところにもオデットが…おっとオディールもこんな場面に…」なんてことがあったし、感動した舞台装置だって熊川流の解釈を表現するための要素がたくさん入っていたのだ、きっと。聞くところによると、エンディングだってハッピーエンドのものもあるそうだしなぁ。そうそう以前みたアダム・クーパーの男性版白鳥もすごかったなぁ。親子間の葛藤みたいなものを白鳥でやるなんていうのもありなんだなぁ。

先週の志の輔落語に出かけて買ってきた志の輔さんの新刊対談本「21世紀のあくび指南」に出てくる一説を読んで、落語家もそうなんだと改めて知った。「…あぁ、お経はそうなんですね。なるほど。しかし、その時点のことをいえば、落語は逆ですね。落語になると、暗記したものに「自分」が入ってくるところから面白くなってくるんです。それがお経と落語の違いだと思います…噺を丸覚えして口馴れて、決まったセリフが出るようになってから、何回か稽古をしていると、ある日ふと出てくることがあるんですね、セリフが。「あ、この方が、こいつの言いそうなことだ」とか、このほうが笑えるな、とかね」 思わず引き込まれて場面が浮かんでるような時とか、前座の人の噺が自然になってくるというのも、きっと背後にそういう変化があるんだろうな。

21世紀のあくび指南―ざぶとん亭風流企画presents 志の輔・宗久おもしろ落語対談

21世紀のあくび指南―ざぶとん亭風流企画presents 志の輔・宗久おもしろ落語対談

表現のための技術だけじゃなくて、自分なりの気持ちが移入できてることが大事。そういえば、自分でもプレゼンで何度も体験したなぁ。もちろん比べるようなレベルじゃないけれど(苦笑)。

そして不覚にも全く知らなかった指揮者・大野和士氏。こちらはTV「プロフェッショナル・仕事の流儀」で。ワーグナーの歌劇の時はドイツ語、イタリアオペラの時はイタリア語で参考資料を読み、自分で原作の心理描写まで解釈してオーケストラメンバーや歌手にそれを伝え、時に議論しながら演奏を完成させていくのだそうだ。この番組、意外に見ちゃいます。そうそう、今晩は宮崎駿氏ですね。これも楽しみだ〜!

…一流と呼ばれる人たちは、いくらかの違いはあってもそのような域でいつも苦闘しているのだろうな。その部分にその”人”が出てくる。とりあえず、頼まれた仕事を、やりながらでも自分のものにしちゃうぞ(笑)。。。で、食べて血や肉にしなくちゃ。あぁ結局食べる話題に(苦笑)。