[] ドレッシングと和え衣のイタリアン@シチリアーノ(銀座、東京)


先月初めていったこのお店。名物の蛸を食べたくて再び。平日の夜だけれど、相変わらず満席です。今回自分で新たに気がついたのは、「フレンチがソース&煮込み系」だとするならば、「イタリアンはドレッシング&和え衣系」なのだということ(もちろん、あくまでも独断で)。


前菜の肉のような味の濃い本鮪からは、ちょっと燻したような香り。聞けば、オリーブオイルに白トリュフを漬けたものをつくって、それをかけているのだとか。ディルなどのハーブ類がこれによってうまく渾然一体と化しているのです。この、オリーブオイルをドレッシングというか”つなぎ”のように使っていたのは、その後の「冷たいそら豆のスープ」でもお目にかかりました。ハーブ類を複数使ったり、アーモンドなどのナッツ類を砕いて使ったり、意図的にいくつかの香りを融合させることが多いのは、このお店の特徴のひとつなのだと思います。そんな中でオリーブ油は香りや味が強すぎても弱すぎてもいけないはずです。日本にも、葱の類いや紫蘇をはじめいろんなハーブとおぼしき植物がたくさんありますがこういう「ミックスした使い方」はあまり思い出せません。

 

さてこのオリーブオイルは複数の特徴的な味や香りのまとめ役というだけではなく、和え衣というかコーティングのような役割もしているわけです。しかし、2回目にしてやっとたどりついた「蛸のコルク蒸し」では、紛質のじゃがいもがまとめ役を代行していました(蛸と、じゃがいもを組み合わせるなんて!)。ワインの栓と共に一時間半ぐらい蒸したという蛸は、ちょっとビックリする肉のような食感。それにしてもこんなに蛸が柔らかくなるなんて、熱をいかに使うかという技術があるんでしょうね〜。「シェフはこの料理にとても気を使っていますよ」と、給仕の方。


「魚のラグー」というのにもちょっと驚いちゃいました。ラグーって言うと、フレンチの肉を使った煮込み料理が浮かんでしまう自分には、想像が出来なかったですよ。コショウダイという魚の頭と中骨で出汁をとり、これを煮詰めているのだとか。これに、パスタとコショウダイの身を和えるようにしているんです。卵を通常の3倍ぐらい使ったという細目の黄色みが強くて割合はっきりとした麺、噛みごたえや噛みきる時の食感が心地よかったですね〜。こんなちょっとしっかり目のメニューには、「東京一、イタリアンパセリを使う店です」というだけあって見事な味と香りと彩りのアクセントが。


「(複数のハーブ類など、香りをまとめるのには)基本のルールはあるんですよ」とはシェフの言。途中でそこそこお腹が満ちてきたように思ったんですが、好奇心と、この味と香りの使い方の妙で結局デザートまでいってしまいました。デザートは、チョコレート系のケーキの上に、粉末の一味がホンのちょっとのかっていて。う〜ん、こういう組み合わせだと一味ってちょっと苦いスパイスに感じるんですねぇ。いや〜面白い!