言葉が描く世界と、映像化された世界〜立川志の輔さん独演会・21世紀は21日(十一月)


「いや〜不思議ですね〜。落語だと何度聞いても、みなさんがですよ、同じところでわ〜っと笑いが起こるのに、映画だとシ〜ンとしてるんです、同じ場面で…」 
なぜ、読んで「よかった〜」と思う本が映画になって、みてみるとがっかりする、あるいは見てもいやしないのにそう思ってあまり気が進まないのか。来年2月公開の映画「歓喜の歌」の原作者・立川志の輔さんは試写会での体験を元に、それをきっちり分析して、枕で披露してみせました。


映画でも、一人の役者さんが雰囲気まで含めて完全に演じていて、見る方も気持ちよくそれに飲み込まれている場面では、落語と同じようにセリフ(言葉)が場を作るチカラを持っている。けれど、そうじゃない多くの場面、例えば複数の人物やその視点が交錯している…なんて場面では、映像が持つチカラがセリフ以上に力を持っている。。。とまぁ堅く書くとそんなところでしょうか。なるほど、読んでいる時には見えてない(←必ずしも必要じゃないし…)全てが映像となってそこにある、というのは印象としてとても強力です。。。そんな枕噺を"みている"こちらの側も、最近じゃ志の輔さんの独演会は「落語+ミニミニ枕セミナーの二本立て」で楽しめることを発見しました。


11月21日は、21日恒例の新宿安田生命での独演会。12月は無いので今年は昨晩で終わり!という会のチケットをラッキーにも入手できて、出掛けてきました。前座の方(枕がよくなってきたと思います)に続いて、志の輔さん登場。「歓喜の歌」の試写会をネタにした枕(↑)、そして元々は"○○館に腹が立って作ろうと思った"という誕生秘話が明かされ、そのまま季節感たっぷりの「ディア・ファミリー」。いやぁ、どうにも鹿にクリスマスツリーがダブって見えるんですよ(笑)。


続いて松元ヒロさんの、パントマイム・ニュース。わははっ気がついた時には笑っちゃってる。「…妥結して…ありにけり…」←どうやったって言葉で説明できません。そして再び志の輔さん。今度は沖縄公演を枕に、十年前からつい先日、本島から石垣島まで、時空を縦横無尽。そして、「浜野矩随」。あぁ今がどこで何時なのかもうそんなの大したことじゃない。聞いてる人の頭に、銘々の"河童狸"や"三本足の若駒"やら"菩薩様"が浮かんでいるのが見えるよう。言葉のちからと、映像の関係。いやぁそれにしても、昨日はチカラ入ってましたねぇ。というかいつも以上にみなぎってるように感じました。何だか得した気分。うほ。


「…皆さまのご健勝と、それ以上の私の健勝を祈念して(わはは!)、三本〆を…」一年間で一度だけ聞くことができる、松元ヒロさんの喋り。志の輔さんに、三味線の松永鉄九郎さんを加え、三本〆。いやぁ、今年も早かったなぁ。。。(爆)ヲイヲイ。いえね、年末ってだれでも一斉に終わるものだけじゃないんだと思うんですよ。人それぞれ時間差で終わるものとあるんじゃないかって。ぼくの落語は昨日で大晦日。ご〜〜〜ん。みたいな。さて、来年の落語初めはいつになる? 12月1日のパルコ公演・電話申し込みの結果次第だって分かっちゃいるんですが(苦笑)。


アンケートを書いて、外へ出るとあぁ、もうすぐ22時。気分はすっかりクリスマスな自分。妙に地味だなぁ、新宿の街は。。。なんて一瞬思っちゃった。あはは。いい夜だ〜。