ペアクッキング・レストラン@SALONE2007(イタリアン、横浜・神奈川県)


蛸のコルク蒸しや、10g単位で量が選べる〆のポモドーロをはじめとして料理はもちろん接客もとても印象的だった銀座のシチリアーノ。閉店を知ってそのがっくりをこのブログに書いたら、若い友人Oさんから「横浜のほうにオープンしてるみたいですよ」との報。おー感謝!すぐに予約を入れ、期待にワクワクしながら行ってきました。


横浜中華街駅から数分のところ。ゆったりとした空間、紺を基調にした落ち着いた色合い、広めのテーブル。頭の中ではついつい前店との比較をしちゃいますけど別のものですからねぇ。銀座のお店もビストロ(イタリアンではなんて言うんでしたっけ?)っぽいカジュアルな感じが嫌いじゃなかった。でも、調理やサービスは大変だったでしょうねぇ。。。というように雰囲気は変わりましたけど、変わらない、というかさらにパワーアップしてるように思えたのが「人」。シェフが二人になって、バリスタの方が加わって、そのみなさんが、楽しそうに動いてる様子が座っていても伝わってきます。こうなると否が応でも期待、高まります(^_^)


ソフト系の仕事には全く疎いんですけど、ペア・プログラミングという仕事のやり方があるのですね。同じ画面(?)を見ながら、その場で二人でプログラムを書いていくのだとか。初めて聞いた時、なんだか窮屈そうなやり方だな〜と思っちゃいました。自分のすぐ横にもうひとり居る…しかもプログラムですからね。でも、ブログでみてみると「後で直しておくよ」というようなことも無くなるし、刺激や勉強になるところもあるなど、緊張感を前向きに使うこともできるみたいです。前置きが長くなっちゃいましたが、シェフが二人って聞いた時このことが浮かんで、いつも他は違うワクワクを覚えちゃいました。


メニューは基本的に月替わりで、一種類のコース(1万円)のみ。金額的には安いわけじゃないですし、以前のメニューは基本的にもう作られないと聞いてますので、さぁどう来るんだろうと思っていると、シェフがテーブルに。「今日のメニューは蛸を使ったのものが入っています。でも召し上がっていただくと、以前と違うものだと分かっていただけると思いますよ(^_^)」おぉ、自信がみなぎってる。ますます期待。
さてこの日のメニューは、こんな具合でした。。。が、ちんぷんかんぷん。なんだ、こりゃ…でも不安な感じがしてこない。レストランに限らず、何度か訪れたくなってしまうお店に共通する点の一つは、信頼して任せてしまえる(しまってもいいと思える)人がいること、そしてその結果が、時にいい意味で裏切られることも含めて、心地いいと思えること。落語の枕のようにこちらの反応をみながら、でも楽しそうにしてくれるメニューの説明を聞いていると、ここもそういうお店の一つだなってわかります。


「これがうちで一番まともな白ですね(笑)」素直な葡萄の香りと味わい、ビオに多いスッキリと軽めのボディ、でも最後に舌の奥のほうにくいっとひっかかる余韻があぁもう一口に。。。そんなお勧めワインでスタート(しかしこれが"一番まとも"って、この後はどんなもの?…とそちらも楽しみになっちゃうじゃないですか)。で、登場した一皿目。見た目はたこ焼き!?と思うブルーチーズ入りのふんわりとしたパンが、赤ワインとチョコのソースの上に座ってます。見た目や頭で想像する味が、ナイフを入れ口に放り込むとすべて外れ、食感、香り、舌触り…いろんな感覚が一気に動き出すのが分かります。あぁ、こういう組み合わせ方ができるんだ。最後に口の中にカカオの柔らかな苦味と煮詰めたワインの香りがジャムみたいな印象を残し去ってゆきます。けっこうズシンとくるジャブ!


お次は佐島港で揚がった魚介を使った蒸し物。こういう地域性のある選び方もいいなぁ。で、こちら。あら、こんどの見た目はシンプル。おぉ、ここに蛸が!いただきますよ〜…え!?柔らかくなった蛸の筋が軽く歯に当たるとすっと切れていく。刺し身で食べるとしっかりとした食感だと知っているのに、頭の中に浮かぶのは何かを生で食べているようなイメージ。これ黙って食べたらなんだと思うだろうな。それにしてもこのスープ、う〜んなんだろう。魚、貝、蛸と入ってるのにどれもが目立たずバランスよく一つになってる。「こちらは、水を一切加えずに蒸しています。。。半分ぐらいに縮んでいるんですよ」「え"?」


。。。続く、じゃない。でもこの後も、仔兎、ひよこ豆を混ぜて打ったパスタ、乳飲み羊、熊本産馬のはらみとドキドキワクワクが連なって、最後は10g単位で量が選べるリゾット。これがまた初めての食感、アルデンテな米。おー。最後は大抵紅茶かハーブティーを選ぶんですが、カプチーノへ。そりゃ普段コーヒーを飲まないからって、試してみたくなるじゃないですか。バリスタさんが居て「砂糖入れても沈まないんですよ(^_^)」なんてささやかれたりすると。はい、これも頼んで良かったなぁ。以上、気持ちよく完了。どの料理をどちらのシェフが作ってくれたのかは分からないけれど、味のトーンは揃っていてとても自然。どこにペアでやっている違いが出てきているのまではわからないけれど、メニューを考えるところから、きっと一人の時以上に組み合わせたり試してみたりなんてことをやっているんじゃないのかなぁ。楽しんで考えたり作ったりしている感じが伺えて、こっちも少しそれを分けてもらって帰ってきた気がします。二月のメニューには、ザリガニが入ってます。あぁ、これも食べにいきたいなぁ。。。