新しいことと新鮮なこと@1-Design for the Next展(デザインハブ、東京ミッドタウン)


先日、東京ミッドタウンに聞きにいったこんなイベントナウシカメーヴェにインスパイアされたという一人乗りの飛行機械を作っている八谷さんってどんな人なんだろうというのがそもそもの動機。もう一人のパネラーの藤枝さんの専門である「音」を交えて。結論からいえば、とにかく楽しかったし、行ってよかった!うん。

"新しいもの"と"新鮮なもの"

パネラーの二人にあらかじめ出されていたアンケートの中の問いの一つが「今、世の中で一番新しいと思われるもの・ことは何ですか?」に対して偶然お二人とも"(一番)新しい、ということには興味がありません"という意味のことを書かれていたのだ。ふむふむ。話しが進むと"新鮮な(驚きを与えてくれる)ものには関心がある"ということが分かった。言葉だからもちろん文脈によってその意味は多様なのだけど、この場で使われていた意味は

  • 新しい:世の中レベル、あるいは何かと比較して語られる
  • 新 鮮:世の中では旧知でも、自分にとって新しくて刺激をくれる

ということなのだと思う。うーむ。流されず(というより、流さずに、かな)に自分で意味をとらえなくちゃ。これって仕事でもよくあるなぁ。これだけいろんな情報に接することができるし、社員の平均年齢上がって接触総数は上昇してるから(…上げてる-_-;)、「それは○○でみたことがある」「それなら以前△△がやっていた」なんていうフィルターをクリアできるものは、まず無いだろうな。それに、毎日おきてるいろんなことを知ることができると、それが自分になんらかの意味があるものなのかどうかを即断しないといけない気分(行動も…かな)になる。そうするとニュースのヘッダーのように表面的な部分で判断することが習慣になってしまうかもしれない。そんな自他共に似たサイクルの中で、"新しい"ことが持っている力を自分で弱めている(=理解できなくなっている)かも。。。もちろん、短期間のトレンドや流行と根本的な変化を切り分けられる人にはそんなことはないと思うけど、自分には自信がもてない。

"安定性"と人間によるコントロール

八谷さんが進めている「オープンスカイ」というプロジェクト。見た目はあのメーヴェだから航空機設計から見たらありえない形状なのかもしれない。でもそれが、ゴムで引っ張られて浮き上がったり、今秋にはジェットエンジンを積んで試験飛行が計画されていたりと現実的だ。そんなことを進めている八谷さんからこんな発言が飛び出した。「安定性がとても高いと人間にはコントロールができなくなるんです」。。。一瞬分からなかった。「サーフボードって人間が操ることができるけれどジャンボジェットはそういうことには向かないですよね」うぅむ、なんだか大きな組織のことを思い浮かべてしまったのだった(^_^;)。



藤枝さんの植物の電位を音として表現するプロジェクトもオープンスカイも、新しいかどうかということではもう何年も続けているから「あぁ、あれでしょ〜」で片づけることは簡単だ。やっているご本人たちだって、飽きちゃうかもしれない。でも続けている中でどんどん広がりが出てくることもで切る。八谷さんは、オープンスカイを進める中でマイクロフライトの免許を取り、身体を鍛えるためにカポエラを始め、ビリンバウという楽器にも繋がっている。そんな中で"見えないものを見て聞こえないものを聞く"ということは何かを生み出すことに繋がるのかもしれない。「頭じゃなくて心でどう感じるか」とか「可聴域じゃない"音"を鼓膜じゃなくて身体で感じる」とか「珪藻土の中にある情報を水に沈めてプチプチいう音としてとり出す」とか。
大脳新皮質のような"新しい"脳だけじゃなくて、小脳とか海馬のような"古い"脳も豊かにしよう!」あぁ、そんなこと考えたことも無かった。。。あ、そういうえば海馬は面白いことや刺激があると、歳取ってからでも発達するっていう本を昔読んだのを思い出した。面白くて刺激を受けてちゃんと記憶されてたんだなぁ。。。(^_^)
海馬 脳は疲れない (新潮文庫)