ウナぎ酒屋@尾花(うなぎ、南千住・東京)


 
日曜日の午後3時。南千住駅からちょっと歩いた線路沿いの道に、行列。この店しか店らしいものはなし。うぅ、一番空いている時間帯だと思ってもこの通りなのだなぁ。それにしてもすごい、30人以上はいるだろう。カップル、家族連れ、老若男女が勢ぞろいというのは近ごろ珍しい部類かもしれない。久し振りに鰻にありつくには、まずここに並ばなくちゃいけない訳である。あ、お店の人が蚊やり豚を持ってきた(^_^;)


寿司、刺し身、天ぷら、蕎麦・・・海外からみた時に日本食というと取り上げられる代表はこんなところかな。鰻は日本から見ると特徴的なものに思えるけれど、外から見るとどうなんだろう?照焼きの一種?土地や季節で食材が変わる寿司や天ぷらは、いってみれば調理方法が料理名だけど、蕎麦といえば(蕎麦掻きはもちろんあるけど)蕎麦切りが普通だし、鰻は蒲焼きが前提で、調理法も食材も、もうそれしかない状態といえるんじゃないか。あ、蕎麦は頑張って季節の変わり蕎麦というのがあるけれどね。


結局1時間半以上経ってから、気持ちよく染め抜かれた暖簾をくぐり店の中へ。あぁ、店構えは立派だけど中は適度な広さでちょっと安心。これだけ人が並んでいてだだっ広いと大抵食べてがっかりだから。うな重は並んでいる時に聞きに来てくれているので、既に注文済み。ということで、その前に少々。。。といいながら、うざく、う巻、焼き鳥!、ビールに温燗っと。こうしてみると、元々(って一体何時頃なのかは分からないけれど)鰻屋とか蕎麦屋ってのは気軽に呑んでつまめるところだったんだろうなぁと思う。天ぷらや寿司は○○道みたいになってしまったからそんな使い方をしたら財布にいくらはいっていても足りやしない。鰻も単品でランチに食べたら高いものだけど、居酒屋として使えるならば許容範囲になるんじゃないか。まぁ、そのためにはこうした"蕎麦屋感覚"で楽しめる鰻屋がないとダメなわけなんだけど。


ふんわりとしたうざく、巨大なう巻(粗く叩いたような鰻を巻いているのが面白い)…と進んで、うな重の登場。いや〜、もうそれなりにしっかり食べちゃってる(^_^;)。蓋を開けると、色白の(といっても白くはありません…)鰻。関西の料理を思わせるような、ふんわりとした食感と、みた目通り軽めのあっさりとした味のタレ。あらま、今まで食べた鰻の中で一番品の良いものじゃないかな、これ。単品で食べるうな重(丼)ならば、例えば柳川のせいろ蒸しみたいに、それなりにしっかりしたタレでもいけますけど、つまみをあれこれ食べた後ならこういう軽いものがいいですねぇ。蒲焼きが登場したのは、江戸の後期でそれまではぶつ切りにして焼いてたりしたらしい(wikipedia)。蒲焼き以前は海外でもたまにみる料理と共通点を持ったものだったけど、蒲焼きで革命が起きたということでしょうか。ウレシイ革命。こういうこってりしたものは、きっと庶民の食べ物だったのだろうし、江戸の干拓でできた湿地にたくさん鰻が棲むようになったらしい(これもwikipedia)から、関東でポピュラーな食べ物になってゆき、蒲焼きから"蒸し"なんていう工夫までが生まれたのかもしれませんね。。。想像ですけど。


あぁ、でも並んで食べてもいいやと思う気持ち、分かるなぁ。もう一度来てもいいもの。それにしてもこれだけのお客を裁いて、味を保つってきっとお店は苦労や工夫をいろいろしてるんでしょうね。感謝です!
さぁて、二次会だ〜(爆)。

  • 尾花 荒川区南千住5-33-1(電話:03-3801-4670)月曜休み