時間の流れを変えてみる


傍から見ると、ボ〜っとしているようにみえる時間。こういうひとまとまりの時間をつくって、あれこれ自分と会話しながら考えることは実はとても大事なことなんだ…読み始めた本にはそうあった。ここ数ヶ月、食堂にPCを持ち込んだり別の事業所に出掛けて仕事をしていたことが脳裏をよぎった。


6月27日、ドキドキしながら初めて入った成田空港のラウンジで不思議な心地よさを感じていた。周りにたくさんの人がいるけれど、一人になれたような感覚。飛行機や新幹線の中とはどこかちょっと違うけど、でもそれに近いかな。そんなことを、うっすらと思いながら、カバンの中の二冊のうちどちらから読もうかと一瞬迷ってから、吉本隆明「ひきこもれ」を手に取った。もう一冊は、斎藤孝×梅田望夫私塾のすすめ」だった。どちらも読み進むのは難しくなさそうな薄い本だけど、何となく寝かせておいたものの中から、行き帰りの飛行機の中で…と持ち出したものだった。書店をうろうろしていると、本の方から目に飛び込んでくることがあるけれど、それに近い感覚で。


久し振りになにかがぴたっとハマった感覚になったのが分かった。中学生の頃、友人に勧められたSFを読み始めてのめり込んだことを思い出す。搭乗ゲートに向かわねばならない時刻を気にしなくちゃいけないのがなんだか億劫なぐらい。 大体この文庫本は目次からして、面白い。例えばこれは、ことごとく会社で聞いたり、自分でも言っていたことと逆に聞こえる(^_^;)

 第一章 若者たちよ、ひきこもれ
     コミュニケーション能力を過大視するな

     時間を細切れにされたら、人はなにものにもなることはできない


旅行や出張って普段とは違う時間を(ある意味強制的に)つくり出すことでもあるわけで、しかも行き帰りはまとまった時間が取れる可能性が高い。そういえば、去年は九州出張が多かったけど、往きの飛行機の中はかなり重要な検討時間になっていたっけ…。この本は今日あたり、二回目も読み終わりそうだ。




帰りの便では、私塾のすすめ。本になってる梅田さんの対談の中では、一番面白い気がする。というのも梅田さんが、斎藤さんのハイテンションな言動(?)に刺激されてる印象があるから。同じハイテンションな人(想像だけど)でも、茂木さんとは違ってみえる(編集のせいかどうかは分からないけど)。でも、"志向性を同じくする者同士で私塾のようなものを…"という、描いていることが重なっているからなのだろうなぁ、やはり。

 自分の「時間の使い方」に対して自覚的でなければいけない


梅田さんは(プロだからという一面もあるだろうし、そういう気質もあるのだと思うけれど)こう言いきる。新しいことを始めるためには何かを止めなくちゃできないよ、という。そうだよな。。。と思う。でも何かを止めるには、今の自分をじっくり見つめ直さなくちゃいけないし(それはそれで大変)、どうせ始めるならかっこいいことがいいよな(仕事で役立ちそうとか)…なんて思っていた(-_-;)。結局、梅田さんのいうことの本質がまだ分かっていなかった、表面の行動変化しかみえてなかったんだろうなぁ。往きに読んだ吉本さんの本で、そういう変な思い込みにはっとし、帰りの便ではそこで繰り返しいわれていることが改めて流れ込んできた。それはそれで、また結構きついことだなと改めて思う。平易な言葉で語られたからといって、自分が理解できていることは限らない。


今回の旅の二冊は、なんとも言えぬマリアージュでした。


ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫)   私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)