立川流のれん街、三軒目へ@志らく百席(横浜にぎわい座)

一昨日(9月2日)の談春さんに続き、志らくさん。八月の国立劇場での志の輔さんから一ヶ月で三人三席というのは生まれて初めての体験。会場も初めての野毛・横浜にぎわい座。事前に前席の背に小さなテーブルがあり…なんてことを教えてもらっていたので(感謝!)、コティ・ベーカリーに立ち寄ってシベリアとパンでも…なんて計画。夜は雨という天気予報だったけどもつかもな〜なんて思いながら横浜駅に着いたら、雨の匂いがしてる。桜木町を下りたらとうとう降り出しちゃった。慌てて駆け込んだコティは、おぉ、棚一杯にシベリアが。聞けば朝日新聞に記事が出て「問い合わせが凄くて今週はシベリアしかつくれないんですよ。来週からは普通にパンも再開しますので」。。。と申し訳なさそうにご主人。いえいえそんなことはありませぬよ。


へぇ、ビールやおつまみまで売ってるんですね、にぎわい座。お弁当を席で食べてる人たちもいる。なんだかそんなことだけでもワクワクしてくる雰囲気のある、にぎわい座。お茶とあられをかって席へ。早速シベリアを。一体どんなきっかけで、ぱく、水羊羹と、ぱく、カステラの組み合わせなんて考えたんだかなぁ、ぱく。こんなふうに落語を楽しめるのは初めてだ(とはいっても、噺の最中は飲んだり食べたりしてるゆとりはもちろんなくなりますのでご心配なく…)。志らくさんは、この「志らく百席」と「志らくのピン」という独演会があるみたい。百席は最初にリストアップしてあるようで、チラシにそれが乗ってます。その中から今日は、「宮戸川」「三軒長屋」「抜け雀」。最初から演目が知らされているというのもなんだか不思議な感じがするもんだ(志の輔さんの場合はわからないから)。さて、始まり始まり。


立川志ら乃さんが前座。この人も初めてだなぁ。前座とはいってもなかなか。帰ってから調べたら、条件付きだけど真打ちに足がかかっている方なんですね。元気がいい。弟子は師匠にいいとこも悪いトコも似るって談春さんもいってたから、志らくさんに通じるものがあるんだろうな…とご本人の登場だ。今週はやはり、福田さんネタがマクラになるなぁ。あは。ちょっと唐突な始まり方から色っぽいシーンへと続く「宮戸川」。膝立ちになって、手つきもいれて、いやらしく(笑)。"一番好きだからといって巧いとは限らないんですよ。あ、言い訳から始めちゃいけない"と「三軒長屋」。しかしよくこういう住人の組み合わせをしたもんですねぇ、それだけで笑っちゃいます。口調と相まって威勢よく響くなぁ。女将と若い衆、伊勢屋と頭、掛け合いのテンポが小気味いい。連呼された道場の弟子には、現存する人物までいるぞ(笑)。と、ここまで終わって8:30過ぎ。あぁ、やっぱり一昨日の談春さんは欲求不満たまったろうなぁ…。


休憩を挟んで「抜け雀」へ。こういう名人を題材にした話って、一つのパタンなんだと思うんですが、それだからこそ演者の個性がでるんでしょうね。"松明もって厠"とか、衝立に絵を描く時の叫び”アチョ〜ッ!"とか、江戸だか現代だか架空の映画だかわからなくなっちゃう(笑)。それにしてもこのお噺は、気のいい宿屋の主人あってのものという気がします。前の二席に比べて時間もたっぷり目ということもあってか、スピードの緩急や声のメリハリなどが一番あって、個人的にはとてもよかったなぁ。



今回、初めて以前志の輔さんで聞いたことのある噺が登場しました。それぞれに包丁の入れ方が違ってそれがおもしろい。ひとりの師匠(家元)から、こんなに落語好きで色の違う真打ちが生まれてくるっていうのは、なんていうか驚きです。しかも、いい具合に年齢もあいてるし。組織という形が強い会社のようなところからは、こういう人の育ち方はやっぱり難しいんだろうなぁ…なんて変なことまで感心しちゃいました。で、今のところ一番印象的なのは観客の雰囲気というか、つくり出す空気みたいなものの違いです。聴衆の一体感のようなものを作り出して、その空気の動きを指揮者よろしく動かす志の輔さんの凄さというのを改めて感じます(まぁ、これは場所にも左右されると思うのでやっぱりみんな凄いぞっ!ってことも十分あり得ますけどね)。対して自分と歳の近い談春さん志らくさんは、もっと自由な印象です。いろんなツボがあって、それぞれ反応が返る。こう感じちゃうのは、自分が"一体感型のライブ的な席"ばかりを体験してきてるせいだろうなぁ。でも、立て続けに聴きにいった落語は、そういう違いを感じさせてくれただけじゃなくて、まだよく言葉にはできないけれど、"もう一度いきたいゾ!"というものをしっかりくれました。案の定、今朝売り出しの「志の輔志らく談春 三人の会」のチケットは取れませんでしたけど(涙)、また続けていくぞ〜。。。次は16日の「志らくのピン」!