引き算で際立たせて@立川志らく「志らくのピン」古典落語編

え〜ここのところ更新が開き気味です。。。書きたいことをいろいろメモに取ってるんですが、夜になると眠い。朝は二度寝しちゃう。自分の中でオチまでたどり着けていない、途中までのメモばかりが溜まってしまいました(汗)。夜が涼しくなったせいか、落語と飲み会が続いたせいか。一つずつでもアップしないとタイミングがずれて全ボツになっちゃいそうです(苦笑)。


さて、先週は二度目の立川志らく独演会「志らくのピン」。場所は内幸町。会場の違いというのは、客層はもちろんのこと、客席の雰囲気の違いにもでるものなのかも知れません。野毛のにぎわい座に比べて新橋も銀座も近いこの会場は、こじんまりとしながらも黒を基調のきりりとした色合い。心なしか、勤め帰りとおぼしき女性が多いような印象で、全体に若い人が目立つ気がします。二度目ということで、こちらもかーなーり緊張が緩んできました。出囃子が「ぽっぽっぽ〜〜鳩ぽっぽ〜」なんてことにも気がついて、もうゆるゆるぅ(笑)。


この日は前座の後で、三席。酒を飲まない人がこうまで酔っぱらいを描写できるのか…と驚き笑った「居酒屋」。大笑いしながらちょっと引っ掛かってしまうのは、自らの酩酊経験と傍から見ると酔っらいってこんなふうなんだってことが重なるせいか(苦笑)。そしてまるでマンガなストーリーと登場人物なのに、これを読み聞かせで笑わせるとは大したもんだ!なんて思ってしまった「不動坊」。中入後は、江戸版できちゃった婚物語?「お若伊之助」。頭(かしら)と剣術の先生のコントラストが、主役のお若の影も薄くしちゃうぐらい見事だと思いました。チラシによると、この独演会は毎回ニ〜三席で一席目が"十八番"、二席目が"未来の十八番"とか。ふむぅ。前回行った志らく百席といい、演目を最初に決めてそれを目標に掲げ着実に前進していくというやり方なんですね。かなりの古典落語オタク(なのだそうです)ならではのスタイルなのかも。


今月から始まった落語強化月間(目出度く来月も延長されることが決まりました!)、志の輔さん一人しかいったことがない状態から楽しみに聞きに行く噺家を増やしていくことで、それぞれの持ち味もよりみえてくるでしょうし、その違いも愉しめるようになるはずだ!という目論みなのです。まぁ、早い話が行きつけの店ができたので、安心してもう二、三軒つくりたいな〜状態(爆)かもしれないし、落語に欲が出てきたということかもしれまへん。


落語に限らず芸能とか演芸って、"なるべく多くの人に楽しんでもらいたい"という気持ちと"でも全ての人は無理だよね"の間でどんな落とし所を見つけるか、という要素を持っているんじゃないかと思います。なので、そこに個性や色が出てくるんじゃないでしょうか。二回みての印象なんでまた変わっていくと思いますけど、志らくさんは"ある登場人物にライトを当てて他の登場人物とのメリハリをはっきりさせる"センスが持ち味のひとつなのかなと。背景大道具の余りない舞台での、演出を見ているような。映画まで作っちゃう人なんだそうですから、そうであっても不思議はないのかもしれません。映画や舞台みたいな演出っぽく感じた点は、マクラもそうです。昨日今日の出来事を取り上げて観客を温めておいて…(転調するがごとく)それでは!なんて入り方はしない。だから現実の話をマクラにするとしても、いきなり非現実化しちゃってる。例えば「先日なべおさみさんとお会いしたら、こんなことを言われたんですよ…」なんていう話題は、TVで何度も見てしまった福田さんネタよりも、現実的ですけど遠い(笑)。自分の悪口(?)や同門の噺家の楽屋裏話もどんどんネタになって登場します。これも現のネタなんだけど、もういきなり「落語湯」なんて銭湯に連れていかれて気がついたら湯船に浸けってるぞ、オイ…なんて状態。というのはちょっと変な例えかな(苦笑)。連れていく方も連れられていく方も、それなりの覚悟や体力がいりそうな気がするんですが、少なくともこちらの方はそんなことを意識することなくいつの間にやら首までしっかり浸かっていい気分。テンポがいいし、間もいいからかな。


イタリアンのコースには、アンティパスト(前菜)の後、メインの前にパスタが控えていたりしますよね。最初はちょっと驚いちゃましたけど。前座の後に「二席+一席」という独演会の構成は、まさにパスタが一皿加わったみたいで、お腹一杯顔ぴくぴくで満足なのでした。しかも、取っつきやすい上にマニアックさもある(でもそんな意識をさせない)ようなコース。あぁ、しばらくイタリアン食べると志らくさんを思い出しそうだ!?