香るおいしさ


香り。どうつき合っていくのがいいのか、なかなか難しい。花にしても食材にしても和のものは、洋のものに比べて香りが控えめなものが多い気がするのですけど、どうなのでしょうか。口元に近づくと分かる(取れたてのものはもっとしっかり香りがあるのかもしれませんが)。その一方で、醤油、そして味噌といったものの香りは、しっかりしていて、身体に擦り込まれていそうです。人工的なものに代表されるように、香りは慣れてしまう…という側面もありますし、好き嫌いを増幅する面もありそうで、その扱いはなかなか難しいですねぇ。


日本酒、香りの華やかなものはどうにも苦手です。一杯で、ごちそうさま(苦笑)。以前はこの季節に生酒とか一升瓶で買っていたんですけどね。ワインも樽香の効いたものや花に似た香りの強いものは、苦手なものが多いです。恐らく自分が、食べながら飲むからなのだと思います。酒だけじゃだめなんですね。つまみがあるから飲むので、よりおいしく食べさせてくれるものじゃないとダメというわけです。


洋の食材は、見事に強い香りでそそるものがあります。いえいえ、トリュフのように珍重するものじゃなくても(…ちゃんと食べたこと、無いですし)。最近気に入った、香り高いものが二つあります。一つは、以前にグリーンオリーブの実の塩漬けを購入した小豆島の井上誠耕園が作った、手摘み緑果オリーブオイルというもの。普通のオリーブオイルが熟して色づいた実を搾るのに対してこれは熟す前の緑の実を搾ったオイルだそうです。どんなものなんだろうな〜と思って試しに取り寄せてみたんですが…もうびっくり!オリーブオイルの概念がひっくり返ります。強いけれどすっきりした青い(←悪い意味ではありません。ワインで言えば、ソーヴィニオン・ブランのような)香り、さらさらしてまるでジュースのような味わい。最近朝のトーストにバターの代わりに使ってます、この上に蜂蜜を垂らして。お気に入りのパンとこのオイルだけで、我が家では"ご馳走"と呼んでます(笑)。


もう一つが、こちらも以前書いたことのあるスイス国境にほど近いフランスはジュラのアルボワ(Arbois)にあるチョコレート専門店Hirsingerの板チョコ。昨夏に行った時に購入したものを野菜室に入れておいたもの。そろそろ食べないと劣化しちゃうかな〜と思い、取り出してみたんですが見事に予想は裏切られました。包み紙を開けた途端に拡がるビターなカカオの力強い香り、口に含むと所々に入ったオレンジピールがさらに加わります。それでいて、全体的には後口の軽い味わい。紅茶に限らず、番茶や岩茶で楽しんでます。。。え、もう半分無くなっちゃったって!?。只今、配給制であります(苦笑)。


食材にしても調味料にしても、香りというのは、実に気分や身体に効きます。味わって美味しければなおさら。ここ数日寒の戻りですが、そろそろ気温も上がってきて、周囲にも香りが増えてくる季節です。さて、今年はこれからどんなものに出会えるか、楽しみです。