拡がって、深まって@この春の、立川志らく独演会

三月は、志らくさんだけで5回も行っちゃいまいました。そんなにたくさん、会があるからだ〜。でも、四月は一度。えぇ、行った落語会は全部で5回あったんですけどね。落ち着きました。でもですね、三月にいってよかった。何かを、掴みつつあるように感じられる、志らくさんと落語の関係。よかったなぁって思った噺が、このひと月の間に、さらに進化しちゃってる。え〜と、だからですね、3月にあれだけ行ってよかったじゃないかって、自分をほめたいぐらい。あはは。まぁ、それは、冗談ですけれど。


進化するっていうのは、幅が拡がることと、深みが増すことの、二つの方向がある気がします。志らくさんは、今その真っ最中なのだと思います。
聴きはじめた頃は、驚いたんですが、この人の独演会は、その日なにをやるか、あらかじめ決めている。例えば内幸町での会であれば「持ちネタ180余を全部出します」と宣言してますから、はじまる前には演目を決めてますし、にぎわい座での「志らく百席」も一月以上前に告知済み。でもこれ、みごとな作戦だと思います。あんまり食べたことないものも、食べる機会が巡ってくる。苦手だったものも、何年も経って口にすると、おいしいじゃないかってこともあるし、こういう料理だったらOK!みたいなことだって、あるかもしれない。こういうふうに、毎月会をやっていれば、幅が拡がっていくのですからねー。そして、やってみて、なにかに気付いたら、もっとこうしたほうがいいはずだって思ったら、すぐにそれをやってみる。こうやって突っ込むことで、きっと深みが出てくる。この両方が、いい感じで回っているように見えたんですが、どうでしょう。例えば、自分が聴いたものを中心にあげてみると、ここ二ヶ月はこんな具合でした。

  • 志らくのピン古典落語編(2009年3月2日)〜「子ほめ」「二番煎じ」「浜野矩随」
  • 志らく百席(2009年3月10日)〜「家見舞」「鰍沢」「二階ぞめき」
  • 立川志らく独演会(2009年3月17日)〜「中村仲蔵」「吉良の忠臣蔵
  • 下北沢演芸祭(2009年3月23日)〜「あらたな、芝浜」
  • 下北沢演芸祭(2009年3月24日)〜「あらたな、たちきり
  • 雨ン中の、らくだ出版記念落語会(2009年3月26日)〜「たちきり
  • 志らくのピン古典落語編(2009年4月13日)〜「鮑のし」「花見の仇討」「たちきり
  • 志らく・談笑二人会(2009年5月3日)〜「中村仲蔵


3月26日は行ってませんけど、"深み"の例として。二ヶ月で14席、うちの二つは二回以上やってます。実際には、これ以外にも会があったですから、もっとでしょう。4月13日の「たちきり」は、若旦那の最後のやりとりが、3月のものとは、もう、がらっと変わってますし。3月のバリエーションは、もう、やらないんじゃないでしょうかねぇ。「中村仲蔵」も、仲蔵夫婦のやりとりが変化してました。志らくさんが掲げてる、単なる人情噺では無く、落語をやる、というテーマに沿って。もう、なんていうか、素晴らしい、拡大&進化確率向上的計画です。
家元の"狂気"を継ぐのだと、家元もご自分も口にしていますが、それをなしとげるには、こういう計画性が、たぶん必要です。狂気と計画性って、ぱっときくと相反するものに感じますけどね。そういえば、二月に出版された「雨ン中の、らくだ」にあった、志らくさんが二つ目を目指している時のことを、思い出しました。最初から1年でなるぞと計画をたてていて、いろいろあって二年経っちゃって、これはまずいと行動を変えて、みごと昇進を認めてもらえたと。
志らくさんは、時間の使い方というのか、計画のしかたが、うまい。実行できる計画であり、気持ちも入ってるから、ちゃんと結果につながる。きっと夏休みの宿題も、きちんとこなしてたんだろうなぁ。あ。落語みたいに、のめり込めていたかどうかに、よりますね。


さて、次の独演会は、来週月曜日。今度は、どっちだろう。楽しみだぁ。


雨ン中の、らくだ

雨ン中の、らくだ