暖簾のかかったビストロ@藤八(大衆割烹・居酒屋、中目黒・東京)


夕食を外で食べようということになり、しばし思案。で、以前満席で入れず、その後何となく機会が無かったここへ。"食べ物もなかなかいい"という話を聞いたことがあるので、ちょっとそれに期待して。しかも、32年間中目黒でやっているというのだから、この街ではきっと老舗。


雰囲気は、イメージ通り。壁に貼ってある雑誌の記事の切り抜きには"居酒屋"だったり"大衆割烹"だったりしますけど、。手前にテーブル席とカウンター、奥に座敷。白いワイシャツのグループもいれば、20代の男性三人連れもいるし、早めに帰ってゆく(早くから来てるんですね、きっと)名前で見送られる常連さん。女性二人組。近ごろ珍しいんじゃないかな、このいい具合の混ざり方。


店内も年季はあるけれど、なかなかにこざっぱりとした雰囲気だし、店員さんも、例えば空いた皿を下げるのにもきちんとお客に一声掛けてから返事があってから手に取る。多分、おかみさんの存在が大きいのでしょうね。その女将さん、きょろきょろと壁に貼ってあるメニューを眺めていたら、すかさず登場。この店の人気メニューや、今日のおすすめを紹介してくれます。「昆布で出汁を取った○○」とか「この四皿なら、お二人で問題ない量ですよ」なんて具合に説明やアドバイスをしてくれる。


 突出しから、期待は高まってました。やっつけのまぁこんなところでいいんじゃない…とは一線を画した煮物。黒ホッピーとそれを楽しみながら、"藤八の名物"として教えてもらった四品を待ちます。最初に登場したのは、むちっとして白身ぎっしりのつくね"自家製はんぺん"。僕は黒はんぺんが大好きで、白はんぺんはふわふわ過ぎて苦手なんですが、この食感は初めて!写真だとお餅みたいに写ってるやつです。次に現れたのは、満足感が高い"烏賊のかき揚げ"。文字にしちゃうと「玉葱などと一緒に刻んだ烏賊がかき揚げになったもの」というだけなんですが、これが妙にうまくてどんどん減ってゆく。そして、見事に日本に帰化してる"自家製腸詰め"(これ、ワインでもいけそうだ)。これに"肉ジャガコロッケ"加え四品。あ、鰹の刺し身もよかったなぁ。
 それ以外にもぜひ!また食べたいメニューがあって、もう和風ポトフ!としか言い様がない"野菜の塩煮"。これは、ほんのり甘みのある澄んだスープに、蓮根、人参、オクラなどがそれぞれ異なる噛み心地をちゃんと残し、豚肉とともに盛られた彩りも含めて何とも言えない一品。お替りしようかと悩んだぐらい。。。そして〆には、"のりうどん"。なんとも楽しい一時間半でした。




「あたしはクセがあるのよ」なんていっていた女将のアドバイスは、会話が出てくる食べ物中心になってしまうぐらい満足度が高かったなぁ。バールとか、ビストロみたいな、ちゃんと「料理に満足でき」て酒楽しめる一軒。僕の中では、野毛の栄屋酒場みたいなポジションかな。食べるのが好きな人と、特においしい魚が食べたい時には貴重なお店。
いや〜、ほんとにこの街の印象が一段あがりましたヨ。この店に、連れてきたい顔がいくつも浮かぶ帰り路でした。

藤八
東京都目黒区上目黒1-3-16(電話:03-3710-8729)
営業時間:17:00〜23:00、日曜祝日休み