博多魚介の三段アタック


数年に一度来るか来ないかの、伊勢エビ君とのご対面。そんな時は大体、刺し身+あとで味噌汁というコースを選んじゃう。一匹で二度楽しめるのが楽しいもの。ところが、玄界灘ヤリイカときたら。。。一杯で三度楽しめるなんて、なんだそりゃ〜!


帰りの飛行機を気にしつつの出張帰り。博多駅からあるいて五分のこのお店、なかなか楽しませてくれました。毎日ご主人が柳橋の市場に出向いて仕入れをしてくるのだそうだ。せっかくだから一品ぐらいは活きづくりを食べたいよね…と同僚と合意。ヤリイカを注文したのでありました。聞けば、ヤリイカは3月終わりぐらいからがシーズン。最近はだいぶ大きくなってきて10月で漁期を終えるのだとか。ほ〜。なかなかいい時期に当たったのかも。「お待ちどうさま〜」と、それはこんな姿で登場したのであります。


立派なサイズの透き通ったヤリイカ君は、まだ表面の色素が鮮やかに明滅する状態。ロープで海岸に縛りつけられたガリバーよろしく、時折足をくねらせて付け合わせの大葉をバシバシっ。指を触れれば吸盤は吸い付き伸び上がる。いやぁ、綺麗だなぁ。こりっ、ぷちっ、じわりと口に入れればイカの旨味と甘味が広がります。
「このエンペラと下足はどのようにしましょうか。炙りますか?天ぷらにします?」「え、えぇ。。。おいどうしようか。そうだよなぁ、迷うよなぁ。。。。うんうん、そうだな、天麩羅にしてもらおう!」決定の多くは根拠なく下されるものである。で、ヤリイカと最後のアイコンタクトをば。そして綺麗に衣をまとって再び下足、登場。いや〜ミディアムレアでいい具合に味が、特に甘味が凝縮されて、これがイカ!?しかも下足?う〜ん、素晴らしい。と余韻に浸っていると「これ、召し上がってみます?」「なんですか、それ?」「さっきのヤリイカの白子と卵なんですよ」「%&#!」…イカを食べて数十年、未だこんな食感はイカ以外でも経験ないぞ。頭に浮かぶイメージでは、練りたての包丁で小気味よく切られる飴を思い出しちゃう。強い腰のような抵抗感はないから、噛んだ歯を押し返すようなわけじゃないけれど、ムニュ〜っとした、白子。臭みも無いので、知らずに口に入れたら何かのお菓子かと思っちゃいそう。そして、小さいくて柔らかいけれど…いつまでも食感が残る不思議な卵。


さてイカに持ってかれかけた気を取り直したところへ、今度は”あげまき”登場!いわずと知れた、有明海の珍味の一つです。12月に柳川に行った時には未体験だったこれも、いまが旬で8月まであるかどうかというシロモノだとか。う〜む、こいつは。。。貝というよりもよく下処理されたモツのような。思わず”中身汁”を思い出しちゃう。でも香ばしい醤油と共にやって来る味わいは貝の味噌のような。干潟って素晴らしい!(←このあたりで既に芋焼酎に飲まれつつある)


そして最後は、鯖の子。。。は?サバの?なんでもサバは卵が少ししか取れないそうでおまけに外套膜が破れやすいのだそうな。そんなわけで普段はご主人の酒の肴にしているというそれをいただいてしまった。思ったよりも小さい粒、舌触りも取っても滑らか。ポン酢もかかってるし酔いもあるので味までは堪能し切れなかったのだけど舌に載せて上顎にこすりつけて、焼酎を。うへへ。いやぁ、ホントに博多の人っておいしいもの普段から食べられる環境にあるんですね〜。うらやましいなぁ。。。