知らなくても、知ってる気分で楽しめちゃう@志の輔らくご・ひとり大劇場2007


そろそろ書かないと時期を完全に逸しそうだけど、書かずにはおれない「ひとり大劇場」。立川志の輔さんの国立劇場大劇場での3日間の独演会。一度文楽を見に行ったことがあるあの広い劇場で、たったひとりで同じ場所に座ったまま、見るものをあっちへこっちへと連れていってくれる。ドラえもんでもここまでは出来まいなぁ。


「。。。ほんとはここ、9時半には終わってなくちゃいけないんですよ。で、昨日は9時55分。今日は2分縮まりました」といって終わった演目は、三遊亭円朝作「政談月の鏡」という一席。なんでも天才といわれた円朝作なのに、評価が定まらない?不思議なものだそうな。そんなわけで、志の輔さん曰く恐らく誰も演じたことが無いだろうということの作を、観客の何分の一の人が知っているんだろう(ぼくも見たことが無い…)「24」仕立の演出でやってしまったのだっ!デカイ舞台の真ん中に座布団、その背後に鎮座する横一杯のパラボラアンテナ風無地の曲面はその焦点に演者を配したままスクリーンにもなってしまうというこった仕掛け。す、凄いこと考えるもんです。。。


「サスペンスっていうのは、落語と正反対のものなんですね。先がどうなるか分からないから、ドキドキハラハラする。。。。基本的に落語はサスペンスにならないものなんです」と本質を掴みつつ、それに挑戦するだけじゃなく、観るものを楽しませてしまう。うまくはいえないんですが、力量を目一杯使ってしまうと相手はそれを見て"楽しむ"ことは難しいんじゃないか。少し余裕のようなものが無いと相手は笑ってくれないんじゃないかと思うんです。そういう意味では、この人まだまだ懐が広いんだな〜と。


でも凄いな〜と思うのは、"知らない人でも(最低限)知っているかのようになれるポイント(特徴)を掴"むこと、そして"それをどう表現したら、伝えたら相手が楽しめるか?"ということを考え抜く、立川志の輔その人の姿勢です。やっぱり。誰も観たことが無い、ある意味キワモノかもしれない作品を、流行り(といっても知っていたのは観客のうちどれぐらいいたのかな。。。)の24の演出を借りつつも楽しませてしまう…というのは言葉では簡単だけど考えに考え抜いて出来上がるものだと思います。この辺り、仕事とかも含めて考えさせられますね〜。え?もちろん今では「24」、知ってる気分です(笑)。


年明けのパルコ公演の前に、もう一度ぐらい観られるかなぁ。。。