やり方を新しくできると、自分も変わっていける(多分)


今まであまり意識していませんでしたが、同じ名前で呼ばれている料理であってもレシピを変えていく人がいるんですね。伝えられて洗練させたメニューを、あるいは自分で生み出して(いったんは)完成したメニューを、変えていく人が。世の中が、生活の仕方が、食材の質が、変わっていることを自ら察し、レシピをつくり直す。「…昔と違って今は冷蔵庫があります。それを前提にしたら、(冷蔵庫がない時代に比べて)塩をもっと控えて出来るはず。…」先日の沖縄行の時に、そんなレシピを那覇山本彩香さんのお店で教えてもらってきました。


泡盛で酔った耳でうろ覚えてきた「新・すーちきーじし」。皮付きの豚三枚肉の塩漬けです。塩を使う量をうんと減らしたレシピ。最終日に牧志の公設市場で肉を買いこんで、東京に帰ってすぐに作り寝かせて、アメリカから帰ってきて早速食べてみました。むむう。こ、これは!以前試した昔ながらのレシピものとはまったく別物じゃないですか〜!!。旧レシピは、しっかり塩でしまって堅くなるものでした。食べる前に二度ほどゆでこぼしても、まだ塩気はちゃんとあって。そのまま食べるというよりは炒め物、パスタの具などによく使いました。でも、これは。。。肉は綺麗な赤味を保ったままで、皮のすぐ下の脂身のプリンとした閉まり具合とむっちりさが両立してる!その下の肉の柔らかさ、そしてまた少し脂身…それらの味のコントラストはなんというか、豚のミルフィーユ!? いやぁ、楽しい!脂は酸化してないので見た目もいいし、あの"美味い脂身"が自宅で味わえちゃうのは感動です。塩抜きしたてのこれ、そのままでも十分酒(←もちろん、泡盛!)持ってこ〜い状態ですけど(爆)、ほんのちょっとにんにく醤油を足らしたり、白味噌溶いてももいいだろうし、柚子胡椒もいいんじゃないかなぁ。う〜む、冷凍も出来るし、ベーコンよりも常備菜として重宝しそうです。


「…冷たい鍋に葱を入れるんです。そうして(火をつけて)温まる前にオリーブオイルを絡めていくんです。絡めて、油でコーティングをしてから蒸らし炒めをする。そうすると、いやなものが出てこないんです。そういうことって、私たちも初めは気がつかなかったの。炒める気持ちになっていたんです。昔ながらの。…」とこちら、は先日「今日の料理」で黒豆と煮しめを教えて下さった、黒豆と煮しめを教えて下さった辰巳芳子さんのスープを作る第一手。「火をつける前に油を絡め…る!?」初めて耳にした時にはなんだそれ。。。と戸惑いましたけど、そういうところまで意識を持ってやってる人がいるというのは衝撃でもありました。


試行錯誤を重ねてレシピを決められた(人生の)大先輩のお二方にして、こうなのだもの(…これが梅田望夫さんの言う、"ロールモデル"に通じているのかもしれない)。おまけに、定番レシピを進化させるわけだから、それはまた全く新規なものを考えるのとは違うだろうことは想像に難くない。仕事だって遊びだって、"これで終わり"が無いものならば、目指すものに向かってルールもやり方も変えていけなけりゃ。第一いったん決めた通りに繰り返して…っていうのは、自分自身が楽しくないよなぁ。自分が楽しんでなけりゃ、一緒にやってる人も周りで見ててくれる人も、楽しめていないかもしれない。毎日の全てのことにそうやって関わることは無理だとしても、自分がやりたかったり大事に思うことについては、そういう気持ちを持ち続けたい。それを感じる身体も保ちたい。そうすればきっと、普段の生活がもっと楽しくなる(^_^)
。。。何だか年末振り返りモードが混じってるみたいです(笑)。