非日常と超日常の振幅

ひょっとしたら自分の意志で行ったのは初めてかもしれない、軽井沢。同じ長野県でも、中央本線側の諏訪や小淵沢の辺りは何度行ったか分からないぐらい行ってるんですけど、信越本線はホントに数えるぐらい。おまけに目的地は長野から先がだったし、ウワサに聞く人出の凄さになんとなく敬遠していた気持ちもあったり。昨年後半から「温泉行くぞ〜」とあれこれ探した揚げ句に決めたのは、軽井沢の「星のや」というところでした。


いろんなことが「あぁもう、後でいいや。。。」ってだら〜んと過ごすための条件ってなんだろう? 再放送していた"のだめ"で千秋クンは「こたつが堕落の原因だ」みたいなセリフを口走ったけれど、いいとこついてます。あれも確かに危険です。ちょっとぬるくなった風呂みたいなもんですもん。今回の温泉行で、もうひとつ危険なものを再発見。この宿、部屋着なるものが用意されてるんですよ、パジャマの他に。タイプは浴衣か作務衣。そしていつでもごろごろできる床暖房の効いてるゆったりした部屋。部屋に付いてる風呂も桧の香りたっぷりのものですし、閉じこもっていても十分やっていけそう。休みの日にパジャマでいるとあっという間に時間が過ぎていく、あれと同じ感覚です(爆)。この「部屋着で一日平気で過ごせる環境」、かなりの威力です! そして、明るいうちから人気の少ない広々とした温泉にの〜んびりとはいる。そんなつもりじゃなかったのだけど、行ってみたら3日間完全に普段のことを忘れてましたし。


そんな中でちょっと違和感も感じていたんです。隔絶されてつくられた世界、例えばディズニーランドに通じるような。あるいは、浦島太郎ってこんな気持ちが募って元の世界に帰りたくなったんじゃないか、というような。


でもそんな日常的ぐうたらワールドのゴージャス版の一方で、ちょっと非日常的な味わいも。ピッキオというこの地で動植物の調査や保護携行をしている団体の方にガイドしていただいて、午前中に雪原でのバードウォッチング。雪は普段見えないものをいろいろみせてくれました。でも恐らく自分だけで歩いていても目に入らないものや、見つけても分からないまますぎてしまうようなものを、教えてもらいながら。テンの足跡やイノシシが雪を掘り返して草を食べた跡、種類によって行動や範囲が違っている十種類以上の小さな鳥たちの姿。あっという間の2時間でした。そして冷えた身体で温泉に浸かりながらみた、水面上を伝わってくる波。あ、逆方向から来る波と交差してもそのまま互いに通り抜けていく。。。初めてみるけど教科書にでていたそのままだ〜とほんとにぼーっと眺めてました。足下を照らしている街灯の光の色。



結局この二つを往き来できるのがいい、そうじゃないとムズムズしちゃうんじゃないかと。


湯上がりのほてった身体で、テラスのマットに座り込んで見上げる星も綺麗な色でした。そうそう、見上げるといえば、光る百合根のようなルイス・ポールセンのアーティチョーク]、そして提灯を連想するルーブル。こういう天井の高い、そして暗めの壁や天井にぼうっと浮かんだ光の球にしばらく釘付けに。照明そのものの大きさをあまり意識しない環境が合うのかもなぁ。そして確かに、光源(電球)そのものは近づいても遠くからでも見えない計算された構成にもぼんやり見入ってしまいました。そんなあれこれの中を通って戻ってきました。今日辺りはもうすっかり、「あぁ、軽井沢行ったのはけっこう前のことだった気がするなぁ。。。」という状態になってしまいました(涙)。