名物考


鳥取出張の往きと帰りに富士山を眺め、ほぼぐるりと一周見渡してきました。裾野の町までしっかりみえていた往き(山梨側)、もやの中から頭だけ…の帰り。向きや天候によっていろんな顔を見ることが出来ますけど、目にして真っ先に浮かぶのは「あぁ、富士山だぁ」。いろんな「日本といったら○○」というものがあるはずですが、富士山や寿司は共に横綱級の存在でしょうね。でも各地には各地の"富士"があって、いろいろな場所に出掛けると、それが分かるのがそれに触れるのがまた楽しみですよね〜。そんな"名物"を味わいながら、感じたこと考えたことを、少々。



- 地域性のある食材でも、食べ方が一緒に広まると地域性は薄れる

人気が出れば、(特に日本の場合は瞬く間に)伝搬していきます。寿司は沖縄から北海道まで「江戸前」の看板が見られますし、東京のスーパーに並んでいるゴーヤーの多くは関東近県のものでした(昨夏)。逆に時間が経ってもその地方に残るのは、商品でいえば大ヒットではなく、特定の層にじっくりと支持されているようなものかなと思います。例えば、この時期日本海側ではいろんな地域で旬のカニ。でも恐らく一番ポピュラーな食べ方、茹でられたものを、店のテーブルに運んでもらって食べる…と「自分が普段と違うところに来てるんだよな〜」という感覚は悲しいかな薄れます。馬刺しのようなものは誰もが好き好んで食べるわけじゃないですから、いくら大きなスーパーが出来ても多くの地域では扱われていません。茅野辺りでは小さなスーパーでも売ってますけど(笑)。そんな蟹でも、囲炉裏端で炙ってもらう焼き蟹のうまさといったらもう(^_^)、東京では味わえないと思います(値段を問わない人は別ですよ…)。あぁ、そういう意味では最近苦戦といわれる日本酒と、ブームが去った後の焼酎の動向も気になります。。。


- よく知られた食材でも食べ方で地域性がでる

正月のお雑煮は名称はどこでも同じでも、食材という意味では餅以外のバリエーションがたくさんあります。それよりも、例えば鯖なんてどうでしょう。〆るのは一般的ですけど、刺し身で食べる(そして素直においしいと思う)のは九州や今回行った鳥取など山陰なのかなと思います。鹿児島では、鯖しゃぶなんてのも(島の料理だって聞きました)。豚肉の食べ方なんてさらに凄いかもしれませんよね。いわずと知れた沖縄の手のかけ方とバリエーション、そして皮付きの肉の美味さはよだれもの。でも今回鳥取で連れていってもらったお店では「豚バラ肉の天ぷら」なるものも、びっくり。ふんわりとした薄めの衣、「えっ!?」と思ってしまう柔らかい歯ごたえと脂っこさを全く感じないさっぱりとした味わい。思わずお代わり!県産の豚肉でなにか工夫しているものが、あるらしいんですよ。こういうのはこれからもとても楽しみですし、昨日のエントリーで書いた"牛肉とらっきょう"みたいなものも、個人的には目からウロコ…でした。




詰まるところ、"理由(必然性)"とか"いわれ"のようなものが、その地域の旬の食材+食べ方を形作っているものが「名物」というものになるんじゃないか。そしてそれが、その地域の枠を越えても成立している(=そのままに近い形態で波及している)時、それは日本の名物になる可能性を持つのかも…しれません。これって、英語で言われるところのidentityっていうことに繋がってるんじゃないかという気もします(英語は苦手なので自信はないですけど)。
ならば、今の自分の"旬"と"それまでの自分から染み出てくるもの"っていったいなんだろう。どんな料理で出したら喜んでもらえるんだろうなぁ。。。またいろんなもの食べに行きながら、今年はそんなことを考えてみようと思うのでありました。あ、「それって今までやってることと何か違うのか?」という突っ込みは、ご容赦くださ〜い(^_^;)ゞ


最後に、アホな!?ことを考えるきっかけをもらった他のおいしいものたちを紹介します。りっぱな鯖の刺し身と、白ハタ(はたはた)の唐揚げ。日置桜と合わせて、、、頬も胃袋も緩みっ放しのいい夜でしたぁ。