平面的な立体〜賣茶翁(和菓子、仙台)の季節のお菓子で思うこと


 
仙台に行ったらここに寄らずには帰れなくなっている、賣茶翁。この二品もそちらのもの(ウ〜ン、色あいが…うまくでない-_-;)。じっと見てると、おぉ、なんて立体的な表現!って感動したけれど、さらによく眺めてると"平面を立体的に表してるもの"かもしれないと思えてきた。なんというか、ステレオ写真で浮かび上がる立体感のような。あの立体感って不思議ですよね。現実とは違うのになぜか違和感がない、というか楽しい。積み重ねるようにパーツが構成されていることが多い洋菓子とはやっぱり何か根本が違うように思えてくる。


日本は平面的なものの表現に特徴がある気がする。巻紙や屏風で横に拡がっていく構成や、左右が湾曲したような構図。例えば能舞台の背景の松。あるいは「夜桜(横山大観)」のような絵(初めて見た時には、ほんとに驚きましたね)。でも何となく自然に感じられるのは、実は見て感じてるものに近いからなのかもしれないから!?。例えば巻紙にしても背景の松にしても夜桜にしても、紙が四角いことやフレームがあることを意識しなくなる。。。って思うんですがどうでしょう。逆の例として、目で見る風景と写真で写した風景は違うものになってしまう気がする。自分が気に入った光景ほどそんな感覚が強くて一時期(といってもずいぶん昔ですけど)そのことに結構悩んじゃいました。感じたままに撮れないのはいくら写してもヘタだからなんだと。でも、写真は切り取る感覚("フレーム"を光景に当てはめて意識化したり強調したりとか…)だから肉眼とは別物じゃないかと今は思ってます。


それにしてもこれだけ削ぎ落とした形と色合いで、こちらの想像力に訴えるのはなかなかのもの。塊のような「落陽花」からは、先日鎌倉で見た地に落ち色が褪せかけている椿が浮かんできた。もう一つからは皇居東御苑ツツジ。。。はて、もし自分がそういう光景を見たことが無かったらどんなイメージが浮かんでくるんだろう。あるいは、海外から来られた方がこれをみたら「美しい」と思う他にどんなことを感じるのだろう。。。って考えていたら、ビジネス本を読んで「これは大事!」とメモしたはいいけれどそこまでで終わっちゃってることが多い自分を突然思い出してしまった。う〜む、結局きっかけが先でも体験が先でもよくて、ぼくの場合、感覚として腑に落ちるためには、自分で経験することが必要だということなのですねぇ(爆)。