第四の出汁と発酵茶

昆布、鰹節、干し椎茸などをメインにした乾物系、貝や魚のあらなどの海のもの系、鶏や牛などの骨を中心にした動物系。出汁といってすぐに思いつくのはこれら三種類だったんですが、全く別物にであってしまいました。それは、、、玉露です。


前からちょっと気になっていた、赤羽のお茶屋さん・思月園。やぶきたの深蒸し以外のお茶をたくさん揃えているのはもちろん、店主の高宇さんは日本以外のお茶事情にも関心を持っていて、台湾にお茶のツアーを企画したり、紅茶のセミナーの講師もされている。そんなわけでいつか参加してみようと思っていた、お茶を話題にしたセミナーにやっと参加してきました。この時の回は、いろんな種類の日本茶の体系だてた紹介と煎れ方の基本。その最初におちょこに半分ぐらい(もうちょっと少なかったかも…)の玉露をいただいたのです。
日傘みたいに覆いを掛けられて苦味の元(でもありポリフェノールの元でもある)タンニン生成を押えて作られる玉露は旨味成分がとっても濃くてびっくり。えぇ、そりゃもう"玉露入り○○"なんていうのは全く別もんだってよ〜っく舌で覚えてきました。これがホントに一番出しに通じる旨味が濃縮されたイメージなんです。wikipediaによると、グルタミン酸が多いとか。う〜ん、日本には昆布や鰹節、干し椎茸などのほかにこんな旨味源があったんですねぇ。玉露に比べれば薄いんだろうけど緑茶をよく飲んでいればこの系統の旨味に身体がなじんでいるであろうことも不思議じゃないですね。


ちょっと話がそれますが、幾つかあるお茶に関する疑問のうち、「発酵させてつくる」ことの謎が今回セミナーで解けました。緑茶、烏龍茶、紅茶はどれも同じお茶の木から作られてそれぞれ「発酵させない、半分発酵させる、発酵させちゃう」のが違いだと普通書かれています。ところが実際には「酸化(重合)をさせない、半分させる、完全にさせちゃう」ということであって、いわゆる発酵させて作る(=酵母など微生物による作用を利用する)のは黒茶(プーアル茶とか)や一部の番茶だというのです。ネットで探してみると幾つかの紅茶のページには"酸化発酵"なんて言葉が使われてますから、少しずつ言葉を訂正しようとする動きも出てきているのかもしれません。是非そうなるといいなぁ。お茶と納豆は作り方が同じ。。。じゃないですものね。


お茶といえば個人的に九州が好みでもあり気にもなるエリアなんですが(お茶の木もやぶきた以外の種類がいろいろあって、釜炒りとかグリ茶なんていうのもありますしこれがまたおいしいんです)、最近四国が赤丸急上昇中です。樽につけて発酵させて作るお茶が細々とまだ残っているらしいんです。野菜とか大豆は各地の地のものに脚光が集まっていますけど、おんなじようにお茶にも"いい"光が当たるといいな…と強く願っているわけです。帰りにその四国の「阿波番茶」と「碁石茶」を買ってきました。これがその阿波番茶です。黒っぽくなりかけの褪せた緑色、なんだか冬山に積もっている落ち葉のような。。。それでいて酢昆布を思わせる香りがして面白いです。でも、いれてみると酸っぱさはほんのり(プーアル的なものでもっと淡い)で何より後口がすっきりして最近の蒸し蒸しには何とも合うんです。すっかり気にいってしまいました(笑)。碁石茶も楽しみだなぁ。


お茶のソムリエの日本茶教室 (ちくま文庫)

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