緑と風とシークヮーサー@がじまんろー(カフェ、大宜味・沖縄)


沖縄には、いろんな種類の柑橘類があるようです。カーブチーやオートーなんていうまだ食べたことのないものもあるそうですし、九年母(くにぶ、橘餅というお菓子に使われてます)やシークヮーサーみたいな小ぶりでちょっと野性味のあるものや、タンカンみたいにかなり知られているものなど、ホントにいろいろです。


シークヮーサーは薄めたり、他のものと混ぜて甘味をつけてジュースになったものにお目にかかることが多いですよね。あるいはスダチやレモンのように絞ってフライにかけたり、刺し身のタレに…なんて使い方も。そのままの味ってどんなものなんだろうって、興味ありません?沖縄に向かう飛行機の中で、ANAの機内誌「翼の王国」を見ていたら、すぐ下の有機栽培の畑からとってきたシークヮーサーを水で割っただけのジュースが飲めるこのお店が出ていました!


名護から大宜味へ国道58号線を北上して塩屋橋を渡り、安根のバス停を過ぎてすぐに現れる「がじまんろー右へ」の看板。国道を逸れてまさに山原、細い道をぐんぐん進んでたま〜に出現する民家にちょっと心細くなりながらもどんどん先へ…と、やっとこさ到着です。車を停めると金属音のようなサイレンのような不思議な音※に包まれていることに気がつきます。なぜかウルトラセブンに出てきたベル星人を思い出す自分に苦笑しつつ、目の前のあるしゃれた喫茶店に "なぜこんな山奥に…?"とこっちの方がちょっとドキッとしちゃいます。モダンな、開口部の大きな木造の家。縁側に向かって大きく開け放たれた窓、フローリング。入り口に無造作に置かれたカゴにはシークヮーサー、適度に手入れされた庭にはアゲハがいったり来たり。


「沖縄に住むって言うことは、こういう暑くて湿り気を持った空気と、身体がなじむっていうことなのかも知れないなぁ…」エアコンも扇風機もない、その代わり正面の山から、後ろの海からそよいでくる風にもたれるようにしながら、目の前の赤い花に群れるように飛ぶ蝶をぼんやり目をやってそんなことを考えていると、シークヮーサージュースがカランカランとやってきました。「…シークヮーサーはアゲハの幼虫が付くんです。だから蝶が多いんですよ」なるほど!考えて見れば、カラタチや夏みかんと同じ理屈ですよねぇ。そうそう、面白いことに正面の山の方から来る風は湿っぽくて(恐らく台風15号の影響だったのだと思います)、左(海)のほうから時折来る海からの風はとっても涼しい。そんな風の違いを楽しむこともできる、縁側です。


しっかりとした酸っぱさ。でも、いわゆるお酢のような、角の立った酸味じゃなくてまるいもの。そして微かに後口に感じる青味が、白ワイン(ソービニオンブラン)に似てもいるように思えてきます。気持ちが目覚めていくような気分。梯子して満腹になった胃袋にエネルギーを取られて、ボワンとしていた頭が身体が、戻ってきました(笑)。青いうちに採ったシークヮーサー、蒸し暑いこの地で長い間つくられ食べられてきた訳が少し分かったような気がします。最後に、玄関にあった今朝とってきたというシークヮーサーを分けてもらって、山原を後にしました。今度来た時は、もっともっとゆっくり音や風にあたっていたいなぁ。


※音の主は、オオシマゼミというのだそうです。ちなみにここではiPhoneは圏外でした(笑)

  • がじまんろー 大宜味村字大宜味923−3(電話:0980-44-3313)

 11:00〜18:00、水曜休み(11月はシークヮーサー収穫のためお休み)


2009年8月31日追記。
1年前と比べると、国道58号線に看板が増えましたね。しかも、目立つようになりました。ところが、「休業中」と看板にありました。いつから掛かっているのでしょうか?少なくとも8月29,30日はこの状態でした。しーくわーさージュースが飲めずに残念でしたが、ちょっと心配。また、復活されると嬉しいですね〜。