夏山からの贈り物〜チーズ四種

久し振りにチーズで更新です。どれも国境近くの山の牛さんから作ったチーズ。なのにどうしてこんなに違うのさっ!と思わずにはいられない味わいの違い。



- ビット(BITTO)
 イタリア北部、夏のアルプスでつくられるというチーズ。なかなか生産量が少ないらしく、お目にかかったのは初めてだと思います。値段も一段高く。一緒に買ったフランスの古典的チーズ、ボーフォール・ダルパージュに比べると、一見して透明感のある黄色味に目が惹きつけられます。同じ牛乳製チーズでもこう違うのは、牛の種類や凝固させた後に一度濾して水を搾るという過程が入ることによるのでしょうかねぇ。牛の種類によっても違うんでしょうか? やや硬く水気は少なめ、優しい味わいでほんのりした甘味が後を引く感じです。そうそう旨味の結晶の粒が小さいですね、パルミジャーノなどに比べると。チーズをじっくり味わって…という気分になる、品のよいハード系チーズという印象です。



- ボーフォール・ダルパージュ(Beaufort d'Alpage)
 いかにもチーズ!というイメージにぴったりのものという気がする、ボーフォール。ジュラよりもやや南に下ったサヴォア地方で作られる、コンテのように巨大なチーズとのこと。これはその中でも富士山二合目ぐらい(からそれ以上の標高)の高原に夏の間放牧された牛から作った、ダルパージュ。ややしっとりとして、濃いミルクの味わい。それでいて香りや後味のスッとしたところが夏っぽい(無理やりかな!?)。とにかくワインが進みます。普段家で飲むことの多い白でも、悪くないような。まぁ素直にロゼとか軽めの赤のほうが、いいんですが(苦笑)。薄く切っても厚めに切って齧ってもおいしいけれど、薄めの方がより味わう…という気分になるような気がするのが不思議です(笑)。こういうチーズを食べると、あぁコンテってとっても濃いチーズなんだなぁって改めて思います。




- モンドール(Mont d'Or)
 いよいよやってきたこのチーズ。涼しくなってくるとこのチーズのことを思い出すようになったのは、何時頃からかな。これをパーティに持っていくと、いつも主役級チーズになります。それにしても、コンテとモンドールを産するとは、ジュラ地方ってうらやましい。実際に行ってみると、ホントに低い山々と森(もちろん、モンドールづくりに欠かせないエピセアの森も)の続く地方。どこで牛を飼ってチーズを作っているんだろうなぁ。ところで今年のモンドールは、会社が変わったのかな?すんごいトロトロ。パンですくおうとすると、垂れる垂れる。まるでモンドール風呂!でミルクを食べてるような(笑)。大勢で食べてるとゆっくり味わって言葉にするまもなく、まるで鍋をつついてるみたい。あは。パンとこのチーズにワインでご馳走ですわ。




- テット・ド・モアンヌ(Tete de Moine)
 こちらは同じジュラでもスイス側のチーズで、エピセアの板の上で熟成されるのだそうです。ウ〜ン、アルプスからジュラにかけての三国国境地帯というはチーズの宝庫ですよねぇ。地図には国境があっても、チーズづくりにはなかったのかも(笑)。このチーズも夏に山で作られるので、まだ若めなんでしょうね。円形のチーズの断面を円を描きながら刃を薄くあてて削ると、鉋屑みたいにチーズが踊ります。巨大な白木耳にみえますね(笑)。このチーズも、気持ち水分少なめな肌理の細かい舌触りが印象に残ります。若いせいか、白ワインでもいけそうですし、日本酒でもいいかもしれません。日本酒に移った時には既にこのチーズが無くなってしまったので、確認できませんでしたけど。。。


(※チーズは全て、フェルミエ渋谷店で購入)