春鰹vs.あぐーのロースカツ@紀乃川食堂(本部、沖縄)


黒潮は、沖縄本島の北側を通り、屋久島と種子島の間を抜けて四国南岸へと流れる。沖縄本島から北東につき出した本部(もとぶ)半島は、この黒潮に乗ってやってくる魚を、うまくキャッチできるわけですね。沖縄での鰹(節)の消費が多いことはそんな背景も、あるようですよ。消費量が多くても、他所からもってくる昆布とは、そのあたりがちょっと違うんですね。


この鰹、毎年、4月半ばごろから水揚げされるらしい。ということで、どこかで食べたいな〜と思いながら、本部へ。なんでも第三土曜日の市場は、手作り市が開かれているそうな。何だか面白そうだな〜と思ってたんですが、着いたのが昼前だったせいか、おばあと、子供たちが駆け回っているぐらいでした。刺し身たっぷり売るお店もあったんですが、この後、はしごランチを計画していたので、悩んだ末に断念(ぼくだって、そういうことも、あるのです)。。。鯉のぼりならぬ"鰹のぼり"を眺めて、車を出しました。鰹、またね〜。


まんてんで、よもぎそばを食べたあとに、ちょっと腹ごなしの散歩。これまた久し振りに、備瀬のふくぎ並木へ。楕円形の丸いつやつやした肉厚の葉が日差しを遮って、うっそうとした雰囲気が好きなんです。この木から、あの琉球の織物の鮮やかな黄色が生まれるんですよね、たしか。小屋で飼われていた山羊を見ていたら、思いっきり蚊に刺されちまいましたぁー。うー。お目当ての、豚カツ食べにいこうっと。


最近、山原方面に来ると、ついつい寄ってしまう紀乃川食堂。黒板に書かれた「あぐーのロースかつ」が気になりながら、結局その日、その時期のものを頼むことになってしまうのです。が、今日こそはそんな逡巡に、決別すべくやってきたのです。。。あぁぁ、また、旨そうな魚が並んでる!けど、でも、だけど、、、ロースかつ定食に、じーまみ豆腐をくださーい(合掌)。
あれ? 

今日のおすすめ。刺し身三点盛り(鰹、まくぶ、いか)

あ、すいませーん。刺し身追加してくださーいっ!


つやつやとして、濃い赤褐色が光ってます。ちょっと一切れが小さめ。さてさて…!? なんだ、これ?今まで食べたことのある鰹じゃない。いや、味が変とかそういう意味じゃないんです。しっかりとした、まるで腰のあるような食感。いい火の通り具合の、アスパラに近い…っていうとちょっと違ってしまうかな。昔々、スパゲッティのアルデンテというものを初めて体験した時の驚きを思い出しちゃいました。
ご主人によれば、本部でこの時期に揚がる鰹は、1kgほどの小ぶりのもので、まだ脂はそれほど乗っていないのだそうです(秋に戻ってきた時ですものね、脂は)。本部の辺りでは、まるで入社仕立ての元気な若者みただったのが、四国や本州の北まで、紆余曲折がありつつ、出張したり転勤したりして、戻ってくる頃には丸々太って、脂もいい具合にのって肉もちょっととろんとなって、恰幅のいい、孫も出来たおじぃに。つまり、本部の春鰹は、青春真っ盛り。


え?あぁ、あぐーはどうだったのか、ですね。忘れちゃいけない。衣の下から、甘味を吹くんだ香りが立ち上るカツというのは、初めての体験。表面がツルリとして上品な肉に思いますが、意外にしっかりとした肉質です。揚げているからなのかもしれませんけど、普通の豚カツよりも水分が少ないのかな、と感じるぐらい(真相はわかりませんけど)。でもやはり、味が濃いですね〜。ソースに負けない心意気。立派なサイズでしたけど、刺し身とじーまみ豆腐の後でしたけど、気持ち良くいただけました。あー満足!です。さすがに、ちと苦しい。。。