今月のチーズ(2009年8月)〜ワイン漬け青カビ&トンガリ山羊


フランスには、地域地域で本当にいろんなチーズがありますねぇ。日本でいうと、漬物とか味噌とかのようなものなのか。国の面積では欧州最大で、単純に比較すると日本の約1.5倍、でも可住地は約3.5倍にもなるのだとか(Wikipedia)。
さらに海沿いといっても、地中海から大西洋海までありますし、山岳地帯もスイスからイタリアとの間にアルプスが、スペインとの間にはピレネーがあり、島だってある。南北にも、東西にも延びてますから、いかにも多様な風土が混在してそうです。
ワインまではとても傾向や特徴を覚えられそうにないけど、チーズならなんとかなるんじゃないか…なんて考えてたんですが、この風土×山羊・羊・牛。なかなかどうして、そう簡単にはいきませんわい。。。

フル厶・ダンベールFourme d'Ambert(牛乳製、青カビ/ロドルフ熟成

中央高地、オーベルニュAuvergne産の牛乳製ブルーチーズ。買ったのは切られたものですが、元の形は、背の高い円筒形という、まるでロールケーキを立てたような形なのだそうです。おまけに、立てて熟成させるのだそう。水分が多くて、硬質なタイプでもないこのチーズが、自重でつぶれてきちゃいそう。
ブルーの中では比較的優しい味わいという印象のこのチーズに、ロドルフさんは、甘口のワイン二種を混合してそれに60日間つけ込むという熟成を施しているのだそうです。チーズだけで、マリアージュってか。あは。
ラップを取ると、いつものブルーとは違う、甘い香りがフワリと立ちます。ただでさえブルーチーズはしっとり気味ですが、より水分(ワイン?)が多めとみえて、全体に濡れたように光っています。丸い口当たりの、角の取れた味わい。辛味はほのか。唐突に、浮かんだのは甘口の塩辛!?でした。ちびりちびりと楽しめる、面白いチーズですね。
ほぼ同じ地域で、ブルー・ドーベルニュBleu d'Auvergneや、フル厶・ド・モンブリゾンFourme de MontbrisonといったA.O.C.の牛乳製青カビチーズが作られています。いつかは食べ比べをしてみたいような、ちょっと無茶なような。

モン・ヴァントゥMont Ventoux(山羊乳製)

さて、こちらはピコドンよりもやや南の地域で作られている、南仏のシェーブル(山羊乳製チーズ)です。山羊乳チーズは形が変わったものが多いですが、こりゃまるで、うっすら雪の積もった巨大なアポロチョコですね。ひょっとしてこっちの方が、この形の元祖だったりするのかな?
小ぶりなものが多いのも、山羊乳チーズの特徴だと思うんですが、これってなぜなんでしょうね。乳量が少ないのかな…とも思いますが(身体が小さいから)、牛のように何頭分も集めて大きなチーズを作らない理由があるはずですよね。そのホロホロとした質感故に、大きなサイズが作りにくいとか、熟成時に水分コントロールが難しいので大きなものは扱いにくい…とかかな。勝手な想像ですけど。



この山(右上、左下がアヴィニオンの街)のことは知らなかったですが、自転車やる人には有名なようです。ツール・ド・フランスの難所なんだそうです(Wikipedia)。ローヌ川を望む独立峰で、天気がいいと遠くからも見える…ともありますから、この地域の人々にとってはちょっと富士山的な意味も持っている!?のかも。


このチーズ、フェルミエのメルマガ700号記念セットの中に入っていたもので、まだ正式な取り扱いでは無いようです。このセットをネタにして、小さな集まりを開いたんですが、何種類も入っていたこのセットの中で、このチーズの評判が、多分一番良かったです。見た目の楽しさ、スッキリとした香り、滑らかな舌触りも、食感も、溶け方も、気持ちよく、あっさりとした素直な味わいです。蜂蜜もジャム何も加えずに、山羊が得意ではない自分も、そのままぺろりといけます。山羊の粒々感というかホロホロとしたものがなく、しっとり。冷たくないアイスのよう…というのはオーバーかな。