ドラマ「牡丹灯籠」@志の輔らくご


「はじめにお伝えしておきますが、いいですか、みなさん。怪談じゃないんですよ。」
「。。。(ほえ?)」


「作者・円朝によって演じられた時には、15日間かかったいう作品です」
「(なんだそりゃ)…(@_@;)」


立川志の輔さんの、牡丹灯籠@本多劇場。この日は今年の3日間の公演の最終日。3年前の初演日から数えると8日目。去年も一昨年も見ることができなかったので、ほんとにウレシイ。
え〜白状します、牡丹灯籠って名前しか知らないです。怖い話らしいっていうことぐらいだけ。思い返せば、昨年9月の国立大劇場に続いて円朝作品。あの時は今様仕立てのエンターテイメント趣向に度肝を抜かれました。敢えて普通じゃない選び方+やり方。こういうところがなんだかグッときちゃうんであります。。。今回ものっけからそんな雰囲気が漂って、ますます期待が高まるのでありました!



下北沢は本多劇場というこの場所、初めてきました。志の輔さん曰く、演じる場所によって感じるものが違うとか。確かに空間の広さ、傾斜の仕方などずいぶん違いがあるものです。ここ本多劇場は、PARCOやキャロットタワーよりも、"劇場"という空気がなんだか濃い気がするから不思議。そんな印象は、志の輔さんが白いシャツで舞台の中央に登場してより強くなりました。まさに、舞台。その一点に観客席の力が集中する、というか引き寄せられた気がしました。


するするする。。。


もとはガッテンの美術スタッフによって作られたというボードが天井から下がってきます。物語前半の登場人物がそこにぺったん貼り付けられて、"前回のあらすじ"よろしく語られていく。ふぅむ、考えましたな。TVを見慣れた身にはこういう流れは自然に受け入れちゃいますから。それにしてもこの円朝というお方は、どうやってこんな多才な人物がからみあう話を考え、組み立てていったんだろう。しかも自分で演じるわけだし。そしてまたそんな作品を選ぶ、志の輔さんも然り。



「え〜一昨日は終わったら10時、昨日は頑張って9時35分。。。今は9時40分です」


終わってしまった。志の輔オリジナルの〆が、よりドラマとしての"画作り"になっていたんじゃないだろうか。終わってから気がついたのだけど、途中から志の輔さんが見えなくなっていた。客席の多くの人がそうだったんじゃないだろうか。下駄の音とともにやって来るお露やお米はもちろん、端役かと思っていたら後半の物語を引っ張っていた伴蔵夫婦に山本志丈。ほとんど出番がないのにぴりりと存在感を持った白翁堂勇斎やおりえ。そして最初から最後まで通して出番のある孝助はもちろんのこと。登場人物たちが、そこにいて。。。というのとも少し違う気がするのだけれどのぞき穴から見ているように周辺がぼんやりとしながらも場面場面をまじかに感じていたように思うんです。。。文楽の黒子よろしく、立川志の輔その人は消えていた…世界。そんなとこへ行っていた気分です(←いったいどこだっ-_-;)。初日に来た人たちはあと20分そんな中にいられたのか…と一瞬羨ましく思う、みみっちいワタシ(笑)。あぁ、すごいものを体験しちゃいました。静かに興奮している自分。落語っていったんなんなのだろう。噺を聞くってなんだろう。頑張って運にも恵まれないと取れないチケットだと思いますけど、絶対のお勧めです(^_^)。



今日は、30分電話をかけまくって、8月16日の国立大劇場のチケットが何とか取れました。ほっ。